COLUMN コラム
家を建てる際には、ほとんどの方が住宅ローンを利用しますが、借り入れ額の上限に大きく影響するのが年収です。
年収が300万円前後の場合、「家を建てたいけど、住宅ローンがどのくらい借りられるか心配」と感じる方も多いでしょう。
そこで今回は、年収300万円の人が無理なく住宅ローンを借りられるポイントを解説します。
また借り入れる際に注意したい点もあわせてご紹介します。
目安を把握できれば、理想のマイホームを建てるための具体策ができ、安心して家づくりを進められます。
年収300万円で住宅ローンは組める?

年収300万円の場合も、住宅ローンを組むことは可能です。ただし、年収300万円前後で住宅ローンを借り入れている人は少数派といえます。
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2024年10月実施)」によれば、住宅ローンを利用した世帯年収で、200〜400万円の人は19.5%でした。
200万円以下の人も含めると27.3%であり、全体の3割と少ないことが分かります。
年収区分 | サンプル数 | 構成比(%) |
---|---|---|
200万円以下 | 110 | 7.8 |
200万円超〜400万円以下 | 276 | 19.5 |
400万円超〜600万円以下 | 441 | 31.1 |
600万円超〜800万円以下 | 301 | 21.2 |
800万円超〜1,000万円以下 | 136 | 9.6 |
1,000万円以上 | 155 | 10.9 |
年収300万円で住宅ローンを無理なく組める目安は?

年収300万円で住宅ローンを組むには、借入額が年収の何倍になっているかを示す「年収倍率」と、年収に対するローン返済額の割合を示す「返済負担率(返済比率)」を目安にするのがおすすめです。
年収倍率では1,800〜2,100万円
ここでいう年収は、社会保険料や所得税・住民税が天引きされる前の「総支給額」を指します。
また金融機関によっては、副業の収入も含まれるケースもあります。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2013~2023)」では、フラット35を利用した人で新築の家を購入した人の年収倍率は、土地付き注文が7.6倍、注文住宅が7.0倍、建売住宅が6.6倍です。
つまり、年収倍率は6〜7倍が一般的であり、年収300万円の場合の借入額は1,800〜2,100万円が妥当といえます。
返済負担率(返済比率)は20%前後
返済負担率は「年間返済額÷世帯年収」で算出します。一般的に、返済負担率は20〜25%程度が妥当です。
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2024年10月実施)」でも、住宅ローン利用者の返済負担率は、「15%超〜20%以内」が全体の約2割を占めています。
仮に、以下の条件でフラット35を利用した場合のシミュレーションをしてみましょう。(実際の審査では、他の債務の有無や勤続年数、年齢などの要因も考慮されるため、借入可能額は変動する可能性がありますので、目安として参考にしてください。)
- ・返済方法:元利均等(毎月の支払額が一定)
- ・返済期間:35年(420ヶ月)
- ・金利:2%(全期間固定)
この条件で返済負担率が20%、25%の場合の借入可能額と、月々の返済額は以下になります。
返済負担率 | 借入可能額 | 月々の返済額 |
---|---|---|
20% | 約1,509万円 | 約35,900円 |
25% | 約1,886万円 | 約44,900円 |
返済負担率を20%にした場合の借入額は約1,509万円で、月々の返済額は約35,900円です。
また、返済負担率を25%にした場合の借入額は約1,886万円で、月々の返済額は約44,900円となります。
つまり、一般的な年収倍率で考える借入額(1,800〜2,100万)は、返済負担率を考慮するとやや高めになる可能性があり、生活費の圧迫により返済が厳しくなるかもしれません。
年収300万円の場合は返済負担率を考慮して、年収倍率を5〜6倍で検討しておくと無理のない返済計画が立てられるでしょう。
年収300万円で住宅ローンを組む場合の注意点

年収300万円で住宅ローンを組む際には、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。ここでは4つにまとめて紹介します。
諸経費を考慮に入れる
住宅を購入する際には、建物や土地以外にもさまざまな費用が必要です。
一般的に物件価格の5〜10%程度を諸経費として見込んでおくとよいでしょう。
【購入時の諸経費】
仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、 印紙税など
【住宅ローン関連】
ローン手数料・保証料、 団体信用生命保険料など
【引っ越し関連】
引っ越し費用、 家具・家電の購入費、火災保険・地震保険料など
頭金を用意する
頭金とは、住宅ローンの借入額とは別に、現金(キャッシュ)で支払える自己資金のことです。
頭金が多くなれば、住宅の購入費や諸経費に充てることが可能です。
また住宅ローンの審査に通りやすくなるというメリットもあります。
では平均的な頭金とは、いくらぐらいなのでしょうか。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2013~2023)」によれば、2023年度のフラット35利用者で住宅の種類別に見た自己資金の平均は、注文住宅が約699万円、土地付き注文住宅が約473.8万円、建売住宅が約294.5万円です。
【住宅種類別・所持金と融資金の一覧】
住宅の種類 | 手持金(頭金 | 融資金 | 融資金に対する 手持金の割合 |
---|---|---|---|
注文住宅 | 699万円 | 3040.1万円 | 約23% |
土地付注文住宅 | 473.8万円 | 4171.2万円 | 約11% |
建売住宅 | 294.5万円 | 3091.9万円 | 約9% |
融資額に対する割合を見てみると、注文住宅の場合は融資額の約2割、土地付き注文住宅や建売住宅は約1割を頭金として用意しています。
しかし平均額はあくまでも目安にとどめ、ご自身の家計や収入に合った頭金で金額を決めることが大切です。
ほかの負債は完済しておく
先述した返済負担率は、住宅ローン以外の負債も考慮されます。
例えば車のローンや、カードローンの分割決済などが含まれます。
住宅以外の負債が大きいと、返済負担率も高くなるため、借入額可能額や金融機関の審査に影響が出る可能性も。
さらに、返済の延滞履歴があれば、借り入れができなくなる危険性もあります。
住宅ローンを契約する際には、ほかの負債はできる限り完済しておくようにしましょう。
夫婦でのローンも検討する
配偶者に収入がある場合は、年収を合算して組む「ペアローン」を利用できます。
ペアローンなら、住宅ローンの借入額を増やすことが可能です。
ただし、夫婦それぞれが住宅ローンを契約するため、事務手数料などの費用が2倍になるので注意しましょう。
また夫婦のどちらかが住宅ローンを支払えなくなった場合は、残りの負債を一方が負担しなければなりません。
場合によっては住宅を売却せざるを得ないリスクもありますので、ペアローンを組む際には慎重な検討が必要です。
住宅ローンを組むには、専門家に相談がおすすめ

住宅ローンは金融機関によって、さまざまな商品プランがあります。
返済期間や金利タイプ(変動金利・固定金利)などを比較し、将来のリスクをできるだけ抑えながら、最適なものを選択する必要があります。
商品選びのほかにも、収入と支出を考慮した無理ない返済計画や、審査を通過するための対策には、専門家のサポートがあると安心です。
住宅ローンについての相談ができる場所は、金融機関や不動産・住宅会社の相談窓口などがありますので、ぜひ利用してみましょう。
まとめ
今回のコラムでは、年収300万円の人が無理なく住宅ローンを借りられるポイントについて解説しました。
今回ご紹介した「年収倍率」や「返済負担率」や注意点などを参考にして、マイホームのための資金計画に役立ててください。
また、グッドリビングでは家づくりに関する無料相談を行っており、住宅ローンのお悩みも受け付けております。
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