COLUMN コラム
「住宅ローンは年収の10倍まで組んでも本当に大丈夫なのか?」
マイホーム購入を考え始めたとき、多くの人がぶつかるのがこの疑問です。
できるだけ理想の家を手に入れたい気持ちはあるものの、背伸びをしすぎて将来の返済が苦しくならないか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、年収と借入額の適正なバランスや、年収の10倍を借りられるケースの条件、そして無理なく返済していくための考え方まで分かりやすく解説します。
後悔のない住宅ローンを組むためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
住宅ローンは年収の何倍まで借りられるのが一般的?

ここでは、住宅ローンは年収に対してどれだけ借りられるのかについて詳しく解説します。
住宅ローンの目安は「年収の5〜7倍」が基本
住宅ローンの借入額は「年収の5〜7倍程度」が一般的な目安とされています。
住宅金融支援機構の「フラット35」の調査データによれば、住宅の種類によっても年収倍率は次のように異なっているようです。
住宅の種類 | 年収倍率(平均) |
土地付注文住宅 | 7.6倍 |
注文住宅 | 7.0倍 |
マンション(新築) | 7.2倍 |
建売住宅(新築分譲戸建) | 6.6倍 |
中古マンション | 5.6倍 |
中古戸建 | 5.3倍 |
一般的に、新築住宅では年収倍率が高くなる傾向があり、中古住宅では比較的低めの倍率となっています。
ただ、データを見るように実際に住宅ローンを組んだ人たちからも「年収の5〜7倍」の借入が現実的であることがわかります。
もちろん、あくまで平均値なので年齢やライフプランによって最適な借入額は変わりますが、無理のない返済を実現するうえで5~7倍という目安を出発点としてみましょう。
借入可能額を決める要素とは
住宅ローンの借入可能額を左右する最大の基準が「返済負担率(返済比率)」です。
返済負担率とは、年収に対して年間のローン返済額がどの程度の割合を占めるかを示すもので、金融機関ごとに上限が定められています。
たとえば、フラット35では、年収400万円未満の場合は30%、400万円以上なら35%までが目安とされています。
各金融機関が定める返済負担率の割合を超えると、たとえ年収が高くても希望の額を借りられないことがほとんどです。
また、返済負担率の計算には住宅ローンだけでなく、自動車ローンやカードローンなど他の借入も含まれます。
既存の借金があると審査に不利に働く場合も多いので注意しましょう。
他にも、勤続年数・雇用形態・団体信用生命保険への加入可否・物件の担保評価なども総合的に見らたうえで判断されます。
年収の10倍を超える借入はなぜ危険?
年収の10倍を超える住宅ローンを組むこと自体は、不可能ではありません。
しかし、借入額が大きくなるほど月々の返済が重くのしかかり、生活の自由度が大きく下がる恐れがあります。
たとえば年収500万円の方が35年ローン・金利1.5%で5,000万円を借りた場合、月々の返済は13万円を超え、家計の大部分を占めることになります。
また、ローンの返済期間中に、転職・病気・出産・教育費の増加などライフプランに変化が起ことも。
他に金利タイプの選び方によっても、将来のリスクは変わってきます。
借りはじめの金利が低い変動金利でも、金利が上がれば将来的に負担が大きくなる可能性もあります。
住宅ローンは「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」に目を向けてみましょう。
年収の10倍を住宅ローンで借りるのは本当に可能?

年収の10倍もの住宅ローンを借りることは理論上可能ですが、誰でもできるわけではありません。ここでは、年収の10倍の住宅ローンを本当に借りられるのかについて解説します。
金融機関が審査で重視するポイント
住宅ローンの審査は、借入希望額や年収だけでなく、さまざまな要素から総合的に判断されます。
金融機関が特に重視するポイントは次のようなものです。
- 安定した収入と勤続年数
正社員として3年以上の勤続があると、収入の継続性が高いと判断されやすくなります。 - 雇用形態
正社員や公務員は評価が高く、パート・派遣は不利になることがあります。 - 個人信用情報
過去のクレジットカードやローン返済履歴に遅延がないかチェックされます。 - 現在の借入状況
すでに他の借入があると、借入可能額が減る要因になります。 - 家計の支出バランス
扶養家族が多い、生活費がかかるなど返済余力に影響がある要素も審査対象です。
このような要素をトータル的に評価し、ローンの借入可否を判断されます。
高額の借入を目指すなら、評価の対象となる項目を一つひとつ意識しておきましょう。
借入額が年収の10倍を可能にする条件とは
まず大前提として年収が1,000万円以上など、相応に高くなければ年収10倍の借入は現実的ではありません。
さらに、他に借入がない、またはごく少額であることも条件となるでしょう。
また、物件価格の3〜4割程度を頭金やペアローンなどで年収の10倍超の借入も可能になるケースも。
ただし、返済額が大きくなる分、将来を見据えて無理のない返済プランを立てる必要があります。
【年収別】借入可能額の目安をシミュレーション

住宅ローンでどれくらい借りられるかを考えるとき、ひとつの目安になるのが「年収×返済負担率」という考え方です。
今回は、返済期間を35年・金利を1.5%(元利均等返済)と仮定して、年収別に返済負担率を25%・30%・35%の3パターンでシミュレーションしてみました。
※なお、ここで使用している金利1.5%は2025年5月時点の相場をもとにした目安であり、将来的に金利が上昇する可能性があります。
年収 | 返済負担率25% | 返済負担率30% | 返済負担率35% |
300万円 | 約2,300万円 | 約2,800万円 | 約3,300万円 |
400万円 | 約3,100万円 | 約3,700万円 | 約4,300万円 |
500万円 | 約3,800万円 | 約4,600万円 | 約5,400万円 |
600万円 | 約4,600万円 | 約5,500万円 | 約6,400万円 |
700万円 | 約5,300万円 | 約6,400万円 | 約7,500万円 |
800万円 | 約6,100万円 | 約7,300万円 | 約8,600万円 |
表はあくまでシミュレーションなので、実際に借りられる金額とは多少のズレがあります。
返済負担率を上げれば借入可能額は大きくなりますが、その分毎月の返済も重くなります。
住宅ローンは何十年と続くものです。
年収だけでなく、将来のライフイベントや子どもの教育費、老後の生活費など家計の全体像を踏まえながら、しっかりと検討していきましょう。
【借入額別】月々の返済額をシミュレーション

住宅ローンを検討するうえで、月々の返済額がどのくらいになるかは誰もが気になるポイントでしょう。
以下では、返済期間を25年・30年・35年、金利1.5%に設定した場合の毎月の返済額を、借入額ごとにシミュレーションしてみました。
借入額 | 25年ローン | 30年ローン | 35年ローン |
2,000万円 | 約80,000円 | 約69,000円 | 約61,000円 |
2,500万円 | 約100,000円 | 約86,000円 | 約76,000円 |
3,000万円 | 約120,000円 | 約103,000円 | 約92,000円 |
3,500万円 | 約140,000円 | 約120,000円 | 約107,000円 |
4,000万円 | 約160,000円 | 約137,000円 | 約123,000円 |
4,500万円 | 約180,000円 | 約154,000円 | 約138,000円 |
ローンの返済期間を長くすれば月々の負担は軽くなりますが、その分利息による支払いが増えるため、総返済額は大きくなります。
同じ3,000万円を借りる場合でも、25年ローンと35年ローンでは月々約3万円の差が。
また、ボーナス払いの有無や借入金利のタイプ(固定金利・変動金利)でも返済額は大きく変わってくるでしょう。
あくまでこの表は一つの目安として、実際の住宅ローンを組む際には金融機関のシミュレーターや専門家などで詳しい試算をしておくことをおすすめします。
自分に合った「適正な借入額」とは?

住宅ローンは、借りられる額ではなく、自分のライフプランや家計に無理のない範囲で決めることが重要です。ここでは適正な借入額を見極めるための3つのポイントをご紹介します。
将来のライフプランから逆算する
住宅ローンの借入額を決めるとき、目先の年収や借入可能額だけで判断するのは危険です。
今は夫婦共働きでも、将来的にどちらかが育児や介護で離職する可能性はないか。
お子さんの進学時期や老後の生活費など、今は見えにくい支出も確実にやってきます。
ローン返済額を決めるうえで大切になるのが、将来のライフプランを立てたうえで逆算して考えることです。
ライフプランの書き出しやファイナンシャルプランナーへの相談も1つの方法でしょう。
現在の住宅費と照らし合わせる
適正な借入額を見極めるうえで、今払っている住宅費(家賃など)と比較するのも現実的な目安になります。
たとえば、今の家賃が月8万円で家計が安定しているなら、それを一つの基準にして、同程度もしくはやや抑えめの返済額になるよう借入額を設定すると考えやすいです。
ただし、注意したいのは住み替えによって他の支出が増える可能性。
通勤費・光熱費・固定資産税などが変動することもあるため、家計全体を見渡す視点も忘れないようにしましょう。
「借りられる額」より「無理なく返せる額」で考える
金融機関から「これだけ借りられます」と言われると、ついその上限でローンを組みたくなるものです。
しかし、借りられる額と無理なく返せる額はイコールではありません。
むしろ、限界まで借りてしまうと、ちょっとした収入の変化や出費の増加が家計を圧迫する原因になります。
住宅ローンの返済は20年、30年と長く続くもの。
無理のない金額に抑えておけば、急な出費があっても柔軟に対応できますし、繰り上げ返済や資産形成にも余裕が生まれやすいです。
ローンを組む際は「無理なく返せる額」を基準に考えましょう。
借入可能額以上の住宅を購入する方法とは

予算を少しオーバーしてでも理想の住まいを手に入れたい…そんな方もやはり多いでしょう。ここでは、住宅資金の幅を広げる3つの選択肢をご紹介します。
頭金を多く用意する
借入可能額に上限がある中で、希望の住宅価格をカバーするために最もシンプルで堅実な方法が「頭金を増やす」ことです。
たとえば、4,000万円の住宅を購入したいのに借入可能額が3,500万円であれば、残りの500万円を自己資金で補う形になります。
頭金を多く入れれば実際の借入額も少なくなるため、月々の返済額や総支払利息も抑えられます。
また、頭金で審査で有利になるケースも。
ただし、ある程度の生活予備資金や将来の支出に備えた貯蓄は確保しておきましょう。
収入合算やペアローンを検討する
共働き家庭なら収入合算やペアローンも、借入額を増やすための選択肢として考えてみましょう。
収入合算とは、主たる債務者のローンに対して配偶者の収入を補完的に加える仕組み。借入限度額を引き上げるのに効果的です。
また、ペアローンは夫婦それぞれが個別にローン組むパターンです。それぞれに住宅ローン控除が適用されるメリットがあります。
ただし、収入合算やペアローンを利用する場合は、将来のリスクについても十分に考えておく必要があるでしょう。
どちらかが病気や出産などで収入を減らすことになれば、返済計画が思うように進まなくなる可能性も。
特にペアローンは、それぞれがローン契約者となるため、一方が返済できなくなった場合でも、もう一方の支払い義務が残る点に注意が必要です。
返済期間を長めに設定する
借入可能額を引き上げるためには、返済期間を延ばすという方法もあります。
期間が長くなるほど月々の返済額が抑えられるため、借入額を増やせる可能性は高くなるでしょう。
実際に、金利1.5%で3,000万円を借りた場合の返済シミュレーションは次の通りです。
返済期間 | 月々の返済額(概算) | 総返済額(元金+利息) | 支払利息の総額 |
25年 | 約120,000円 | 約36,000,000円 | 約6,000,000円 |
30年 | 約103,000円 | 約37,080,000円 | 約7,080,000円 |
35年 | 約92,000円 | 約38,640,000円 | 約8,640,000円 |
このように、返済期間を長くすると月々の負担は軽減されますが、その分支払う利息は大幅に増加します。
25年では利息が約600万円で済むところ、35年では約860万円と、その差は260万円以上。返済期間を長くとれば審査にも通りやすくなる反面、支払う利息は大きく膨らむため、将来的な繰り上げ返済なども含めた柔軟な返済プランを判断しましょう。
まとめ|住宅ローンのことならグッドリビングにご相談ください!
今回は、住宅ローンは年収の10倍借りられるのかについて解説しました。
住宅ローンの借入可能額は、年収や返済負担率などからある程度の目安を立てることができます。
ただし、数字上の上限がそのまま自分にとって適正とは限りません。
将来のライフプランや家計全体を踏まえて、無理なく返済できる額を見極めることが大切です。
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