COLUMN コラム
家事のしやすさやバリアフリー対応など、シンプルな暮らしや将来のライフスタイルに寄り添った住まいとして、近年「平屋に住みたい」という声が増えています。
しかし、実際に建てたいと考え始めると「費用は?」「デメリットはないの?」といった疑問や不安も出てくるものです。
この記事では、平屋のメリット・デメリット・費用相場・間取りの工夫など、知っておきたいポイントを丁寧に解説します。平屋を建てたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
平屋が人気の理由

近年、注文住宅における平屋の着工件数は約4分の1を占めており、10年で約2倍に増加。
かつては郊外や高齢者向け住宅のイメージが強かった平屋ですが、今では若い世代を含めて幅広い層から注目を集めています。
人気の理由のひとつは、ライフスタイルの多様化です。
無駄のない間取りで家事動線が短く、家族の気配を感じながら暮らせる設計は、共働きや子育て世帯にとっても魅力的です。
また、上下階の移動がない構造なので、将来的なバリアフリーを考える上でも安心感があります。
コンパクトで機能的な住まいを求める時代に、平屋という選択肢が「ちょうどいい暮らし方」として再評価されていると言えるでしょう。
平屋を建てるメリット

平屋には、毎日の暮らしを楽にする動線や、将来も安心して暮らせるバリアフリー設計など、幅広い世代に大きな魅力があります。ここでは、平屋のメリットについて解説します。
家事動線が効率的
平屋の最大の特徴は、上下移動が不要な「ワンフロア構造」です。
すべての部屋が1フロアでつながっているので、家事の一連の流れがとてもスムーズに完結できます。
キッチン・洗面所・ランドリースペースを近くにまとめるなどさらに工夫をすれば、料理の合間に洗濯や掃除もこなす「家事のながら作業」もしやすくなります。
ワンフロアで動線が効率化できれば、日々の負担が軽くなるだけでなく、育児・家事・仕事も両立しやすい住みやすいマイホームとなるでしょう。
バリアフリー設計ができる
平屋は段差が少なく、階段がないのが特徴です。
高齢者や小さな子どもにとって、階段の昇降は転倒リスクや負担の原因となるため、フラットな住まいは安心感が違います。
将来的に車いすが必要になったとしても、フラットな床なら動きやすく、介助する側の負担も軽減されます。
老後の未来を見据えて早いうちから備えておきたい人にとって、大きなメリットと言えるでしょう。
家族との距離が近い
平屋では、どの部屋にいても家族の気配が感じられるのが魅力です。
家族の居場所も自然と近くなるので、コミュニケーションも自ずと増やすいでしょう。
リビングを中心とした間取りに工夫すれば、誰かが動くたびに顔を合わせる機会が増え、自然な会話や見守りがしやすいです。
ただし、常に視線が行き交う環境にもなりやすいため、適度にプライベート空間を確保も必要となるでしょう。
メンテナンスや掃除がしやすい
平屋は、家の外も中も手が届きやすいのが特徴です。
2階建てに比べて外壁や屋根のメンテナンスがしやすく、ランニングコストを抑えられます。
実際に、塗装や補修などで必要な足場を組む費用が約20~30%程度削減できるケースもあります。
また、室内の掃除においても階段がないぶん動きやすく、掃除機を持って上り下りする手間もありません。
家の中も外も手入れがしやすいというのは、長く住むうえで大きな安心につながるでしょう。
地震に強い構造で安心できる
平屋は、耐震性に優れています。
基本的に重心が低い平屋は、揺れの影響を受けにくく、構造全体に均等に力が分散されるため、大きな地震でも比較的被害が少ない傾向です。
また、屋根や壁の面積もコンパクトなため、台風などの強風にも強いとされています。
災害の多い日本で安心して長く住める平屋は、検討する価値のある住まいといえるでしょう。
平屋のデメリットと注意点

平屋には多くのメリットがありますが、広い敷地が必要だったり、費用が高くなったりと、計画時に注意すべき点もあります。ここでは、平屋のデメリットを解説しますので、建てる前にしっかり把握しておきましょう。
広めの敷地が必要になる
平屋はワンフロアで生活が完結する分、建物の面積が横に広がる傾向があります。
そのため、同じ延べ床面積の2階建てと比べて、建築に必要な土地の広さが大きくなります。
都市部や人気エリアでは土地価格が高く、希望する広さを確保するのが難しいこともあるでしょう。
また、庭や駐車場を設けたい場合は、さらに余裕に敷地が必要です。
土地探しから始める場合は、建物の広さだけでなく、周辺の土地事情や予算とのバランスをしっかり考慮しておきましょう。
建築費用が割高になる
同じ延べ床面積で比較した場合、平屋の建築費は2階建てよりもやや高くなる傾向があります。
費用が上がる理由は、基礎工事や屋根面積が広くなること。
基礎や屋根は面積に比例してコストが増える部分なので、全体の工事費にも影響します。
また、敷地が広ければ外構工事の費用がかさむことも。
予算の上限をあらかじめ明確にしておき、優先順位をつけた計画が必要になるでしょう。
採光・通風の確保に工夫が必要
平屋はすべての部屋が1階に並ぶ構造上、建物の奥にある部屋に自然光や風が届きにくくなる場合があります。
特に長方形の間取りや建物が密集した地域では、採光・通風が課題になることは多いです。
中庭や吹き抜けを設ける、間仕切りを少なくしたオープンな間取りにするなど、設計段階から「光と風の通り道」を意識することで、快適な住まいを実現できるでしょう。
プライバシーや防犯に配慮が必要
すべての部屋が地面と近い位置にある平屋では、外部からの視線や侵入に対する配慮が必要です。
特に道路や隣家と近い敷地では、窓の位置やフェンスの高さ、植栽の配置などを工夫しないと、家の中が丸見えになってしまうことも。
また、侵入しやすい窓の配置は防犯面でリスクが高いため、防犯ガラスやセンサーライト、防犯カメラなどの設備も検討したいところです。
快適さと安心感を両立させるには、設計段階から「見せる部分」と「隠す部分」のバランスを考えておきましょう。
家族構成によっては不便
すべての居室がワンフロアにある平屋は、生活動線がシンプルな反面、プライベートな空間が取りにくいという一面もあります。
特に、年頃の子どもがいるご家庭では「自分だけの空間がほしい」という気持ちに応えにくいことも。
また、来客時に生活空間が見えるなど、間取り次第で不便を感じる場面も出てきます。
そのため、家族の人数やライフスタイルに合わせて、個室の配置や収納の工夫、音の配慮などをしっかり考えておきましょう。
平屋の費用相場

平屋住宅の建築費用は、延床面積や仕様によって大きく異なります。ここでは、平均的な費用や2階建てとの比較して、平屋の相場わかりやすく整理していきましょう。
平屋の平均的な建築費用
平屋の建築費用は、一般的に「1坪あたり70〜90万円」が目安とされています。
延床面積が広くなればそのぶん費用も上がりますが、同じ間取りでも設備や仕上げによって価格に差が出ます。
以下は延床面積ごとのおおよその費用です。
延床面積 | 費用目安 |
20坪(約66㎡) | 約1,400万〜1,800万円 |
30坪(約99㎡) | 約2,100万〜2,700万円 |
35坪(約115㎡) | 約2,450万〜3,150万円 |
注文住宅の場合は、設計の自由度が高い反面、費用も上振れしやすくなります。
他にも、敷地条件や地盤改良、外構の有無などによっても費用は変動するため、相場はあくまで参考として考えておいてください。
2階建てとの費用の違い
同じ延床面積でも、平屋と2階建てでは建築費に差が出てきます。
主な要因は、平屋では「基礎工事」と「屋根工事」に必要な面積が広くなることです。
以下に平屋と2階建ての一般的な費用感を比較してみました。
建物構造 | 坪単価の目安 | コスト面の特徴 |
平屋 | 約70〜90万円 | 屋根・基礎が広くコスト増 |
2階建て | 約65〜85万円 | 上下分割で屋根・基礎・土地代が節約できる |
2階建てでは、限られた土地を有効活用できる反面、階段の設置や構造補強で施工が複雑になるケースも。
一方、平屋は構造が比較的シンプルなので、工期が短くなったり、メンテナンスコストを抑えられることもあります。
初期費用だけでなく将来かかるランニングコストも含めて比較し、より納得のいくマイホームを選んでみてください。
平屋の建築費用を抑えるためには?

「平屋を建てたい」という気持ちは強いものの、やはり割高になるから予算的に悩むという方も多いのではないでしょうか。ここでは、平屋を建築費用を抑えるポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
外観や内装をシンプルにする
建築費用を抑えたい場合、まず見直したいのが外観や内装のデザインです。
凹凸の多い外観は施工の手間や材料が増え、その分コストも上がります。
片流れ屋根や長方形の間取りなど、構造が単純な形状にするだけでも費用は抑えられます。
また、内装においても、装飾性の高い素材や造作家具などはコストが上がりやすいため、既製品やクロス仕上げを活用すると予算を抑えやすいでしょう。
見た目にこだわりたい気持ちは大切ですが、「シンプル=質素」ではありません。
色使いや素材の組み合わせ次第で、おしゃれな雰囲気も十分に出せるので、楽しみながらマイホームづくりをしてみてください。
設備のグレードや仕様を適正に選ぶ
キッチン・バスルーム・トイレなどの住宅設備は、選ぶグレードによって金額が大きく変わります。
高機能なキッチンや浴室は魅力的ですが、すべてをハイグレードにする必要はありません。
よく使う部分はグレードを上げ、優先度の低い設備は標準仕様にするなど、メリハリをつければ費用を抑えられます。
また、少し前の型の設備を選ぶと価格が抑えられることも。
住宅設備は、選び方ひとつで意外と大きな差が出るので、設計の段階から優先したい部分を家族でよく話し合っておきましょう。
予算に合わせた施工会社を選ぶ
同じような間取り・仕様でも、施工会社によって価格や提案力に大きな差があります。
費用を抑えたい場合は、ローコスト住宅を得意とする会社や、設計と施工を一貫して行う地元工務店を選ぶのもおすすめです。
とはいえ、ただ安いというだけで決めてしまうのは危険です。
見積書の内容がざっくりしていて、あとから追加費用がかかるケースもあるので、「何が含まれていて何が別料金なのか」をしっかり確認しておきましょう。
できれば複数の会社から見積もりを取り、対応の丁寧さや説明のわかりやすさなども含めて比べてみてください。
平屋の建築実例3選
ここでは、実際に建てられた平屋の事例を紹介します。収納やデザイン、雰囲気づくりなど、理想の住まいづくりの参考にしてみてください。
収納が豊富なコンパクト平屋
延床面積が25坪ほどのコンパクトな平屋でも、アイデア次第で驚くほど使いやすくなります。この実例では、寝室にはウォークインクローゼット、リビングには壁面収納を配置し、空間を圧迫せずに収納量を確保。
部屋数は最小限ながらも、収納場所を機能的に分散させることで、すっきりと暮らせる家が実現しています。
天井の勾配がおしゃれな平屋
こちらの平屋は、リビングの天井を斜めに高く設計したことで、実際の面積以上に広がりを感じさせる作りになっています。
天井を木目調にすることで木の温もりも加わり、ビビットブルーとの相性も抜群。
採光窓からも光がたっぷり入り、昼間は照明いらずの明るさです。
「平屋=平坦でのっぺり」というイメージを離れ、印象的な空間づくりが実現しています。
大人を感じるシックな平屋
こちらの平屋は、落ち着いた色合いと適度な素材感で、まさに大人のための住まいといった雰囲気に仕上がっています。
グレーを基調とした内装の要所にダークトーンを使用。
家具や照明もミニマルで上品なデザインを採用し、全体に統一感が生まれています。
子育てが落ち着いた世代や、夫婦でゆったりと暮らしたい方にぴったりの住まいといえるでしょう。
まとめ
今回は、平屋を建てたいと考えている方へ、メリットやデメリットを解説しました。
平屋を建てる際には、メリットや費用、気をつけたいポイントを知っておくことはとても大切です。
シンプルで暮らしやすい平屋ですが、敷地や予算のことなど事前にしっかり考えることもたくさんあります。
予算が決まっているなら建築費を抑える工夫や、自分に合った施工会社の選びも満足のいく家づくりには欠かせないでしょう。
まずは、どんな暮らしをしたいのかをイメージするところから、少しずつ始めてみてください。
当グッドリビングでも、平屋に関する無料相談を受け付けています。
平屋の建築実績も多数あるため、予算面で平屋を建てるのが不安な方、平屋か2階建てか悩んでいる方はぜひご相談ください!
下記ホームページよりご連絡をお待ちしております。
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監修者情報
グッドリビング広報部

累計15000棟以上の実績があるグッドリビングが、WEBサイト上の情報をまとめただけの簡易的な記事でなく、実際のお客様とのコミュニケーションの中である悩みや疑問をテーマにしています。真剣に新築注文住宅を検討している読者に役立つ、価値ある中身の濃い情報をお届けしています。