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耐震・制震・免震の違いを徹底比較|どれを選べば後悔しない?住宅のプロが解説
地震大国・日本で住宅を建てる、または購入する前に「耐震・制震・免震」の違いを理解しておくことは重要です。
しかし、「名前は聞いたことがあるけれど、何がどう違うのかわからない」「結局どれを選べば後悔しないの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、住宅のプロの視点から耐震・制震・免震とは何か、メリット・デメリットを整理し、あなたの住まいに合った最適な選び方もわかりやすく解説します。
住宅だけではなく、一緒に住む家族を守るという視点も持って読み進めてみてください。
耐震・制震・免震とは?まず押さえておきたい基本知識

最初に、耐震・制震・免震とは何かについてお伝えします。
ここがわかっていないと、耐震、免震などという言葉が出てきたときに混乱してしまい、適切な判断ができない可能性があります。
まずは、基礎知識を押さえていきましょう。
耐震とは|建物そのものを強くして揺れに耐える構造
耐震は、まさに読んで字のごとく、地震の揺れに耐えるのが主たる目的です。そのため、建物そのものの強度を上げて、揺れに耐える構造が採用されます。
耐震の場合は、建物の倒壊を防ぐための技術、地震の揺れに耐える設計が重要です。たとえば、壁に筋かいを入れたり、接合部を金具で補強したりして建物自体の強度を上げます。
また、耐震はよく使われる構造で、一戸建て住宅・マンション以外にも、オフィスビルや学校などで採用されています。
制震とは|揺れを吸収して建物へのダメージを抑える仕組み
制震は揺れを吸収する構造を採用して、建物へのダメージを抑えるのが特徴です。高層ビル・タワーマンションといった高層の建物で使われることが多く、制震装置を設置することで、地震の揺れを緩和可能です。
具体的には、建物の内部にダンパーや重りで構成された制震装置を設置して、地震の揺れを抑えます。
耐震は建物自体を強くして揺れに耐えることで倒壊を防ぎますが、制震は揺れを抑えて小さくすることで建物が壊れるのを防ぎます。
免震とは|揺れを建物に伝えにくくする構造
免震は、地震の揺れを建物に伝えにくくする構造のことです。具体的には、建物と基礎の間に特殊な免震装置を設置することで、地震の力を受け流して建物を揺れにくくします。
建物と地盤とを切り離すという点で、耐震・制震とは異なります。
また、免震は大規模な地震が発生しても、耐震・制震と比べると揺れにくいです。混同しやすい3種類ですが、以下のように覚えておいてください。
- 耐震:地震の揺れに耐える
- 制震:地震の揺れを吸収する
- 免震:地震の揺れを受け流す
耐震・制震・免震を一覧表で比較

耐震・制震・免震を一覧表で比較しました。いずれも大きな地震が起きたという想定で比べています。
| 耐震構造 | 制震構造 | 免震構造 | |
|---|---|---|---|
| 家具転倒の確率 | 高い | 高い | 低い |
| 食器・ガラス類の飛散の確率 | 高い | 高い | 低い |
| 家電製品の転倒・破損の確率 | 高い | 高い | 低い |
| 躯体の損傷の確率 | 高い | 低い | 低い |
| 建物の揺れ方 | 階数が上がるほど、揺れが大きくなる | 耐震構造よりも揺れは抑えられる | 地表面の揺れが直接伝わらないので、揺れは抑えられる |
この表だけを見ると、免震構造が一番いいのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし、耐震・制震・免震にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
安易に決定してしまうと後悔する可能性があるため、次にそれぞれのメリットとデメリットを確認していきましょう。
耐震のメリット・デメリット

家具転倒やガラス類が飛散する確率が高い耐震構造ですが、実際にはどのような魅力があるのかしっかりと見ていきましょう。
また、デメリットについても触れますので、ぜひ参考にしてみてください。
耐震のメリット
耐震のメリットは、以下のとおりです。
- 建設コストが安い傾向がある
- 台風で発生する強風にも効果がある
- 間取りの設計がしやすい
- 工期が短くなる傾向がある
耐震は免震と比べて、建設コストが安い傾向があります。そのため、採用しやすいのが魅力です。ただし、より地震に強い建物を建てたいときは、コストをかけて補強することも考えたほうがよいでしょう。
さらに、耐震構造は地震にだけではなく台風で発生する強風にも効果があるほか、間取りの設計がしやすいというメリットもあります。
また、耐震はよく使われる構造で、制震・免震のような特殊な施工も不要なので、工期が短くなる傾向があります。
耐震のデメリット
耐震のデメリットは、以下のとおりです。
- 階数が上がるほど揺れが大きくなる
- 家具転倒などのリスクがある
- 繰り返しの揺れには弱い
耐震構造の建物は、揺れを緩和するような構造になっているわけではないため、階数が上がれば上がるほど揺れが大きくなります。特に、高層ビルなどではかなり強い揺れを感じるでしょう。
さらに、耐震構造は強い地震だと家具が倒れる可能性が高く、そのせいで怪我をしてしまうリスクがあります。そのため、家具を固定するなどして対応することをおすすめします。
また、耐震構造は繰り返しの揺れに弱いです。何度も地震があると部材の損傷が大きくなって、最悪の場合倒壊してしまうこともあります。
地震が起きたあとは、しっかりと点検・メンテナンスを行いましょう。
制震のメリット・デメリット

地震の揺れを吸収する制震のメリットおよびデメリットを見ていきましょう。
制震のメリット
制震のメリットは、以下のとおりです。
- 建物のダメージを抑えられる
- 比較的コストが安く済む
- メンテナンスがしやすい
制震は、耐震よりも建物のダメージを抑えられ、免震よりもコストが安く済むというメリットがあります。さらに、揺れを吸収するという特徴があるため、家具転倒などのリスクも少なくなります。
また、繰り返しの揺れにも強いので余震による建物の被害も抑えられるほか、メンテナンスがしやすいという点も制震構造の魅力です。
制震のデメリット
制震のデメリットは、以下のとおりです。
- 装置の設置場所や数で効果が変わる
- 地盤の影響を受けやすい
地震の揺れを吸収して建物のダメージを抑える制震構造ですが、装置の設置場所や数で効果が変わってしまいます。たとえば、建物の構造上適切な位置に装置を設置できない場合は、効果が出にくくなる可能性があります。
さらに、制震は地盤の影響を受けやすいです。建物が地盤の弱い土地に建てられた場合、いくら制震構造が備わっていたとしても、十分な効果を得られない可能性があります。
制震を採用するのであれば、地盤に関する調査も入念に行ったほうがよいでしょう。
免震のメリット・デメリット

家具が倒れにくかったり、ガラス類が飛散しにくかったりとメリットが大きいように見える免震構造ですが、実はデメリットもあります。
以下で詳しく確認していきましょう。
免震のメリット
免震のメリットは、以下のとおりです。
- 自宅にいても揺れを感じにくい
- 家具の転倒などのリスクが少ない
- 建物内部へのダメージが小さい
免震構造は、地盤と建物を切り離すような効果を持つため、建物自体が揺れにくく、自宅にいても揺れを感じにくいのが魅力です。さらに、揺れにくいことから家具転倒といったリスクも少ないので、ものが倒れてきたことによる怪我のリスクも下がります。
また、建物内部へのダメージも小さくできるため、壁の内部や部材が損傷しにくく、大切な資産である家をしっかり守れます。
免震のデメリット
免震のデメリットは、以下のとおりです。
- 縦揺れには効果を発揮しにくい
- 強風には効果が少ない
- 建設コストが高い
横揺れに強い免震構造ですが、縦揺れには効果を発揮しにくいというデメリットがあります。さらに、台風などで発生する強風にも効果が少ないと言われているため、注意が必要です。
また、免震は耐震・制震と比較して建設コストが高くなる傾向があり、施工できる会社も限定されます。加えて、定期点検やメンテナンスといったランニングコストが発生する点も見逃せません。
耐震・制震・免震の選び方

ここで、「結局どれを選べばいいの?」と疑問を抱いた方もいるのではないでしょうか?
そこで、ここからは選び方について紹介します。耐震・制震・免震を選ぶ際は、以下の項目をチェックします。
- 予算
- 立地条件
- 家族構成・生活スタイル
以下で詳しく見ていきましょう。
予算で選ぶ
耐震・制震・免震は、費用が同じというわけではありません。
たとえば、制震構造を採用する場合は耐震よりも建設コストが増加する可能性が高いですし、免震ならさらに費用が増加することも珍しくありません。
そのため、自分たちの予算と照らし合わせて構造を選びます。また、そのときにかかる建設コストだけではなく、維持費用も含めて判断することで後悔のない選択ができるでしょう。
立地条件で選ぶ
立地条件によって、選べる構造が左右されることがあります。たとえば、地盤が軟弱な土地では免震構造は採用できないケースがあるほか、制震は十分に効果を発揮できない可能性があります。
ほかにも、地震の発生頻度が多いところであれば制震・免震構造を採用するメリットは大きくなりますし、海岸部なら強風にも強い耐震構造が向いているでしょう。
このように、立地条件で適切な構造は異なります。自分での判断が難しい場合は、住宅のプロにも相談しながら決めることをおすすめします。
家族構成・生活スタイルで選ぶ
家族構成や生活スタイルで選ぶのもよいでしょう。たとえば、小さな子どもや高齢者がいる世帯は、揺れを軽減する制震や免震構造がおすすめです。
一方で、費用を抑えつつ、ほかの設備も充実させたいという場合は耐震構造が有効です。
このように家族の状況や生活スタイル、自分の要望なども考慮しながら決めてみてください。
耐震・制震・免震の費用の目安

耐震・制震・免震の費用の目安は、以下のとおりです。
| 構造 | 費用の目安 |
|---|---|
| 耐震 | 100万円程度〜 |
| 制震 | 50万円程度〜 |
| 免震 | 200万円程度〜 |
建築基準法のもと、今後建てられる住宅については一定の耐震強度にすることを求められているため、100万円程度〜は新築を建てる費用に含まれているのが一般的です。もし耐震に関するリフォームなどをする場合でも費用は、100万円程度〜でしょう。
制震については、比較的費用が安く、50万円程度〜導入可能です。
免震は3つの中で最も費用が高く、最低でも200万円程度は見ておいたほうがよいでしょう。特に、既存の住宅に追加する場合は、建物を持ち上げたり、解体したりすることになり、さらに高額になる可能性が高いです。
ただし、いずれの構造にかかる費用も、あくまで目安です。詳しく知りたい場合は、見積もりなどを取ることをおすすめします。
耐震・制震・免震に関するよくある質問

耐震・制震・免震に関するよくある質問は、以下のとおりです。
- 免震構造は台風や強風でも揺れますか?
- あとから免震リフォームはできますか?
- 耐震等級とは何ですか?
理解を深めたい方は、ぜひ回答をチェックしてみてください。
免震構造は台風や強風でも揺れますか?
免震構造は台風や強風でも揺れを感じることはあります。
台風や強風といったゆっくりとした周期の揺れには反応することがあり、船に乗っているようなゆっくりとした揺れを感じるケースがあります。
あとから免震リフォームはできますか?
既存の住宅にも免震リフォームを施すことは可能です。しかし、建物を持ち上げたり、解体したりする必要があり、費用が1,000万円以上になることもあるため、あまりおすすめできません。
あとから行うのであれば、耐震補強や制震ダンパーの設置のほうが現実的でしょう。
耐震等級とは何ですか?
耐震等級は、耐震構造の建物の強度を表す指標のことです。耐震等級には、等級1〜3の3種類があります。
- 耐震等級1:建築基準法に規定された最低限の耐震性能
- 耐震等級2:等級1の1.25倍の耐震性能。長期優良住宅の認定に必要なライン。
- 耐震等級3:等級1の1.5倍の耐震性能。防災拠点となる建物に求められる最高レベル。
耐震等級とは、制震・免震構造とは異なる概念なので混同しないように注意してください。
まとめ:耐震・制震・免震の違いを理解して選択しよう

耐震は建物自体を強くして揺れに耐える構造で、コストが抑えやすい一方、家具転倒などのリスクがあります。制震は揺れを吸収して建物の損傷を抑える仕組みで、耐震と免震の中間的な特徴を持ちます。免震は地震の揺れを建物に伝えにくくし、室内被害を大きく軽減できますが、建設コストが高い点が課題です。
選ぶ際は、予算や立地条件、家族構成・生活スタイルを踏まえて総合的に判断することが重要であり、構造ごとの特徴を正しく理解することが後悔しない住まいづくりにつながります。
しかし、自分だけで判断するのは容易ではありません。そのような場合は、住宅のプロへの相談も検討してみてください。
私たちグッドリビングも、住まいに関する相談を無料で受け付けています。耐震性能だけではなく、住宅保証・アフターサポートなど気になることは何でもご相談ください。

監修者情報
グッドリビング広報部

累計15000棟以上の実績があるグッドリビングが、WEBサイト上の情報をまとめただけの簡易的な記事でなく、実際のお客様とのコミュニケーションの中である悩みや疑問をテーマにしています。真剣に新築注文住宅を検討している読者に役立つ、価値ある中身の濃い情報をお届けしています。