空き巣被害が多発する昨今、一戸建て住宅に住む方にとって防犯対策は欠かせない課題です。
「自分の家は大丈夫」と思っていても、狙われやすい家にはいくつかの共通する特徴があるもの。
特に、玄関や窓といった外部と接する部分の防犯対策が不十分だと、空き巣のターゲットになりやすくなります。
今回は、狙われやすい家の特徴を解説するとともに、一戸建てにおすすめの防犯対策を紹介します。
家族の安全を守るために、効果的な防犯対策を今すぐ始めてみましょう!
目次
警視庁によると、令和5年の住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数は1万7,469件。そのうち、最も多い30.5%は一戸建て住宅が狙われています。
マンションのような共同住宅より、一戸建て住宅が狙われやすいのには次の3つの理由があります。
一戸建てがマンションより空き巣に狙われやすい理由の一つとして、窓が地面に近い位置にある点が挙げられます。
一戸建て住宅では、1階の窓が空き巣にとって最も狙いやすい侵入経路です。
地面に近いので手軽にアクセスでき、脚立や工具なども使わずに侵入できてしまいます。
一戸建てに対してマンションは、共用のエントランスを持つ高層階。侵入するにはハードルが高いため、一戸建てがより狙われる対象になりやすいと言えます。
一戸建てでは、塀・植栽・車庫などの外構も敷地内のひとつです。
外構には特に、人の目を阻むために植栽や塀などを備えている場合が多いでしょう。
塀や植栽があることで、侵入しても近隣住民や通行人の目に触れにくくなり、空き巣が犯行を行いやすい環境が整っていると言えます。
一戸建てには、玄関・裏口・庭側の窓・勝手口など出入りできるポイントが建物全体に多くあります。
特に裏口や勝手口は、通行人や近隣住民の視界から外れやすく、狙いやすい場所です。
空き巣にとっては選択肢が広がることになるため、最も簡単に侵入できるルートを選べることになります。
空き巣に狙われやすい家の特徴として、次のようなものが挙げられます。
このように空き巣は、できるだけ簡単に侵入できて、見つかる可能性が低そうな家を基本的に狙います。
ただ、侵入を試みても時間が掛かれば諦める傾向も。
警視庁の調査によると「5分かかると侵入者の約7割は諦め、10分以上かかると侵入者のほとんどは諦める」と言われています。(参照:警視庁「住まいる防犯110番」)
空き巣が諦めたくなるような防犯対策をしっかり行っておけば、侵入される可能性はかなり低くなるでしょう。
一戸建て住宅への空き巣の侵入経路で最も多いのは「窓」です。
警視庁の令和5年の調査によると、侵入窃盗の総数1万3,490件に対して、約半数以上にあたる7,448件が窓から侵入されています。(参照:警視庁「住まいる防犯110番」)
そのため、一戸建てでは窓への防犯対策の優先度が高いと言えます。
窓やドアの施錠を確実に行う基本的な対策に加えて、簡単に窓を破られない対策を心がけましょう。
空き巣の侵入経路として最も多い窓に対する防犯対策は、家全体の防犯力を高めるのに大きく繋がります。ここでは、窓にできる防犯対策を紹介しますので、参考にしてみてください。
空き巣が侵入する手口といえばガラス破りやこじ開けなどを想像しますが、意外に最も多いのは無締りによる侵入です。
一戸建て住宅における侵入窃盗の手口(令和5年 総数:13,490件)
無締り | 6,250件 | 46.3% |
ガラス破り | 4,833件 | 35.8% |
ドア錠破り | 339件 | 2.5% |
令和5年の警視庁の調査によると、一戸建て住宅における侵入窃盗の約半数に近い46.3%が無締りで侵入されています。
すなわち、カギの掛かっていない窓やドアから侵入されているということ。
いくら防犯対策を考えていても、カギが掛かっていなければ簡単に侵入を許してしまいます。
外出する際は、2階の窓やトイレの小窓であっても、しっかりと施錠しておきましょう。
窓そのものを割られないためには、CPマーク付きなど防犯性の高い窓を選びましょう。
CPマークとは「防犯性能の高い建物部品」に付けられたマークのことです。
CPマークが示す部品は強度が高く、空き巣が工具を使って侵入しようとしても5分以上の抵抗力を持つ仕様となっています。
また、すでに設置してある窓でも、防犯フィルムなどを使えば強度を高められます。
空き巣の多くは、侵入までに時間がかかると犯行を諦める傾向があるため、防犯性能の高い窓は特に大きな抑止効果を発揮するでしょう。
一戸建ての窓への防犯対策として、補助錠の取付けも非常に有効です。
空き巣が侵入する常套手段としてガラス破りがよく使われますが、基本的にカギ周辺のガラスを割ってカギを開けます。
カギの場所が複数になれば割るべき場所も増えるため、侵入に掛かる手間も増え、諦める可能性が高くなります。
補助錠は比較的簡単に設置でき、コスパも良いのでおすすめの防犯対策です。
雨戸やシャッターが窓に付いていれば、窓ガラスを割ったり、こじ開け自体が難しくなります。
また、一目見ただけで「侵入が難しい家」という印象を与えられるため、空き巣のターゲットになりにくいという心理的な効果も期待できます。
特に夜間や長期不在時に雨戸やシャッターを閉めておけば、家全体の安全性を大幅にアップさせることも可能です。
侵入経路に狙われやすい掃き出し窓には、シャッターを付けておくのをおすすめします。
空き巣の侵入経路として最も多いのは窓ですが、玄関や勝手口から普通に侵入されているケースも少なくありません。ここでは、玄関にできる防犯対策を紹介します。
もしもの時のために…と、玄関近くの植木鉢の下や郵便受け、屋外にある隙間などに予備のカギを隠している人もいるでしょう。
しかし、玄関周りは空き巣にとってまず最初に探す典型的な場所です。
出し入れする様子が空き巣に見られている可能性もあります。
万が一、家族がカギを持って出るのを忘れてしまった場合でも、屋外にカギを隠しておくことはリスクが大きいためやめましょう。
最近ではスマホを使ったデジタルキーなども増えています。
スマホや暗証番号で施解錠ができ、紛失するリスクなどもなくなるため、ぜひ活用してみてください。
カギ自体のセキュリティ面をアップするならディンプルキーも検討してみましょう。
ディンプルキーとは、鍵の表面に小さな窪みがたくさん設けられている特殊な鍵のことです。
従来のギザギザした鍵とは異なり、防犯性が高く、空き巣が使用するピッキングの手口に対して強力な抵抗力があります。
合鍵の作成も難しく、一般的な鍵に比べて特別な機器や認証が必要なため、不正に複製されるリスクも低いです。
空き巣の侵入を防ぐ手段としてCPマーク付きのドアがおすすめです。
CPマーク付きのドアは、通常のドアよりも頑丈な構造になっており、不正な侵入に5分以上の抵抗力があります。
また、耐久性だけでなくドアの鍵部分にも高い防犯性能も。
ピッキングやサムターン回しといった解錠手口に対しても高い防御力を持っています。
万が一狙われても5分以上時間が掛かれば、諦める可能性も高いため、積極的にCPマーク付きの部品を選んでみてください。
防犯カメラは、空き巣の犯行の証拠を残せるだけでなく、心理的にも強力な抑止力を期待できます。
防犯カメラが設置されていると、ひと目で「防犯意識の高い家」と判断でき、侵入を諦める可能性が高まるからです。
実際、多くの空き巣がターゲットを選ぶ際に、防犯カメラの有無をチェックすることがわかっています。
最近では安価から手に入るものや、スマホで映像を確認できるものもあるので、死角が発生しやすい家なら特に導入を検討してみましょう。
ドアや窓への防犯対策で侵入を阻むことも大切ですが、敷地から侵入の対策をしておけば、さらに効果的です。ここでは、庭や外周にできる防犯対策を紹介します。
人などが通ると点灯するセンサーライトなどは、空き巣が嫌がります。
暗闇に紛れて犯行を行いたい不審者は、突然ライトで照らされると驚いて、侵入をためらう傾向にあります。
また、夜間に家族が帰宅したときでも、足下が照らされて安心できるのもメリットです。
ホームセンターなどで安価から手に入り、簡単に取り付けもできるため、死角になりやすい場所や気になる場所に設置してみましょう。
庭や外周に防犯砂利を敷いておくと、不審者の侵入に大きな効果を発揮します。
防犯砂利とは、踏むと「ジャリジャリ」とした音が普通の砂利より大きく鳴る砂利のことです。
足音が周囲に気付かれやすくなるため、侵入を諦める可能性が高くなります。
敷地内全体でなくても、敷地の入り口や裏の通路、窓の下だけでも効果が期待できるでしょう。
メンテナンスなども必要なく、DIYで簡単に設置できるためおすすめです。
一戸建ての庭や外周の防犯対策として、周囲の目が届きやすい外構にすることはとても大切です。
自分の生活空間はできるだけ隠したいものですが、高い塀や生い茂った植栽で敷地を囲んでしまうと、不審者も身を隠しやすくなり、侵入されても周囲に気づかれにくくなってしまいます。
住人や通行人など周囲の視線が届けば「見られている」という意識が働き、防犯効果も高められます。
外構のデザインを考える際には「視線が通るかどうか」を意識して作りましょう。
庭や外周の防犯対策として、足場になりやすいものを置かないことが大切です。
脚立・ゴミ箱・大型の植木鉢など家に入らないものは外に置きたくなりますが、近くに置いていると、足場に利用して塀や窓へよじ登れてしまいます。
特に、2階の窓やバルコニーへの足がかりになるものがあると、油断している場所から侵入される危険性も高いです。
日頃から庭の整理整頓を心がけ、侵入されにくい環境を作っておきましょう。
万が一、家の中に侵入された場合、空き巣と鉢合わせしないとも限りません。ここでは、できるだけ被害を抑えて、早急に捕まえてもらうための対策を紹介します。
空き巣に侵入されたときの対策として、センサー付きカメラは有効です。
センサー付きカメラは人の動きを感知すると自動で録画を開始し、不審者の姿をしっかりと記録できます。
犯行の様子が残るため、犯人の特定や逮捕につながる可能性もあるでしょう。
また、スマートフォンと連携できるタイプなら、リアルタイムで映像を確認できるため、異変にすぐ気づいて警察に通報することも可能です。
センサー付きカメラを玄関やベランダなどの屋外だけでなく、室内にも設置しておくと安心です。
毎日の生活により安心感を求めたい方は、ホームセキュリティへの加入がおすすめです。
ホームセキュリティと契約しておけば、センサーが不審な動きを感知した際に即座に警備員が駆けつけたり、異常を通知してくれるため、被害を最小限に抑えられます。
特に、留守中や夜間など、自分で対応できない状況でも安心できるのが大きなメリットです。
また、ホームセキュリティに加入していることを示すステッカーや看板を玄関や窓に貼ることで、犯罪抑止の効果も期待できるでしょう。
最後に一戸建ての防犯に関するよくある質問を紹介します。
空き巣が嫌がる家は、「人目につきやすく、防犯対策がしっかりしている家」です。
庭や外周が開けていて見通しが良いと、不審者が隠れる場所がなく、周囲から気づかれやすいため狙われにくくなります。
また、センサーライトや防犯カメラ、ホームセキュリティのステッカーがある「防犯意識が高い家」も嫌がられます。
つまり、防犯性の高い家を作っておくと、自然と狙われにくくもなると言えるでしょう。
空き巣の約半数以上である54%が下見をすると言われています。
中には、2~3回に渡って入念に下見をして、計画的に犯行が行われるケースもあります。
空き巣が下見で確認していることは、主に次の2点です。
不審者に思われないために、作業着やスーツを着て下見をしている場合も少なくありません。
声を掛けられたから犯行を諦めたというケースも多いため、見かけない人と何度も出くわすようであれば声を掛けるのも対策の1つです。
今回は、空き巣に狙われやすい一戸建ての特徴や、場所別にできる防犯対策を紹介しました。
空き巣は、人目が少なく、防犯対策がされていない家を基本的に狙います。
しっかり防犯対策を整えておけば、自然と狙われにくい家になり、万が一狙われた場合でも侵入を防ぐことができます。
ぜひ。今回のコラムを参考にして家族が安心して暮らせる家づくりを実践してみてください。
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