2024.11.01
マイホームを購入するにあたって、ほとんどの方が利用する住宅ローン。
しかし、住宅ローンは支払いが長期に渡ることから、自分の今の年齢と照らし合わせて考えたときに「何歳まで借りられるのか?」と不安に駆られる方も多いでしょう。
結婚・出産・教育・老後の資金など将来的な金銭的な負担を考えると、借入時の年齢と完済時の年齢を見極めて無理のない返済計画を立てていきたいですよね。
今回は、住宅ローンの年齢制限の仕組みを解説するとともに、借入時の理想・平均年齢、そして年代別に押さえておきたいポイントを紹介します。
これからマイホームの購入をお考えの方は、参考にしてみてください。
目次
どの金融機関においても、住宅ローンの申し込みができる年齢や、払い終わりの年齢の条件などは定められています。
ここでは、一般的な金融機関で定められている年齢制限の条件などについて紹介します。
住宅ローンを組む際には、借入時の年齢や完済時の年齢に制限が設けられており、一般的に民間の金融機関では「70歳未満」がローン契約を組める条件となっています。
以前は、20歳からの申し込みが主流だったローンが借りられる下限年齢も、成人年齢の改正により「18歳から」可能なケースが増えました。
しかし、ローンの審査では、単に年齢だけでなく収入の安定性も重視されるため、若い年齢での高額ローンの契約は現実的に厳しい場合が多いです。
また、金融機関は「完済時の年齢」も重視しており、多くの銀行で完済は80歳未満と定められています。
長期に渡る住宅ローンは、比較的若い世代に有利ですが、特に収入の安定が見込まれる年齢層が有利に契約できることがわかります。
住宅支援機構「フラット35」によると、利用者の年齢別推移は次の通りです。
平均年齢 | 60代以上 | 50代 | 40代 | 30代 | |
2023年度 | 44.3歳 | 13.9% | 17.6% | 27.6% | 30.4% |
2022年度 | 42.8歳 | 10.9% | 15.6% | 27.4% | 34.2% |
2021年度 | 41.5歳 | 9.0% | 14.1% | 26.5% | 36.2% |
2020年度 | 40.3歳 | 7.4% | 12.1% | 25.4% | 39.8% |
2019年度 | 40.2歳 | 7.0% | 11.3% | 25.9% | 41.7% |
2018年度 | 40.1歳 | 7.1% | 10.7% | 25.5% | 42.3% |
2017年度 | 40.0歳 | 7.0% | 10.8% | 25.1% | 42.9% |
2016年度 | 39.8歳 | 6.7% | 10.3% | 24.9% | 44.5% |
住宅ローンを組む年齢は、一般的に30代~40代前半が多い傾向にあります。
ただ、契約時の年齢は上昇傾向にあり、2023年度の調査によると平均的なローン申込時年齢は44歳。過去のデータと比較しても、契約時の平均年齢が徐々に上昇していることがわかります。
住宅ローン契約年齢の上昇傾向は、50代以降でローンを申し込む人の増加も影響しており、近年の定年年齢引き上げなども一因にあるでしょう。
特に、30代で住宅ローンを組む割合が最も多く、次いで40代が続きますが、60代以降になると借入の割合は低下。
年齢が上がるにつれローンの返済期間が短くなるため、月々の支払額が高くなる部分や、団体信用生命保険(団信)加入の制限も住宅ローンを組むタイミングを左右する要因です。
住宅ローンの申請には年齢的な要素が強く、特に高齢になるほど契約が難しくなる場合は多いです。
収入に対して返済額がどの程度の割合を占めるかを示す「返済負担率」が重要視され、一般的にローン期間が短くなると月々の返済額が大きくなり、返済負担率も上がります。
そのため、45歳以上で申込をしようとすると長期ローンが組めない場合が多く、希望通りの金額で借り入れられないことも少なくありません。
また、住宅ローン契約の多くは「団体信用生命保険(団信)」への加入を必要とします。
団信とは、ローン契約者が死亡または重度の障害状態になった場合に、ローン残高がゼロになる保険のことです。
年齢が高くなると、健康上のリスクも増えることから団信の審査基準も厳しくなり、特に持病があったり、直近で大きな病気を経験したりしている場合は、団信に加入できない可能性は大いにあります。
団信に加入せずに住宅ローンを組む選択肢もありますが、この場合は万一の際に残された家族が返済を続けなければならないため、大きなリスクが伴うでしょう。
年齢が上がると制約が増えるため、住宅ローンは早めに検討しておくことが重要です。
住宅ローンは、できるだけ65歳までに返済を終えるように計画するのが理想的と言えます。
ほとんどの人にとって65歳は人生の1つの節目。現代の多くの会社では65歳を定年としているため、過ぎてしまえば収入が安定しづらくなり、年金や貯金に頼る生活に移る方は多いです。
もちろん、再雇用制度や契約社員、アルバイトとして働き続ける方もいますが、現役時代と同じような収入を期待できるのはごく少数でしょう。
また、歳を重ねるにつれて健康面でのリスクも。医療費がかさんだり、介護費が必要になったりと、新たな出費も考えられます。
リスクの高い状況でまだローン返済が残っていると、コスト面だけでなく精神的な負担としても重くのしかかってくるはずです。
収入面やリスク面を考えると、やはり65歳までに払い終わるのを目指すことは、老後の生活を安心して暮らすための大切な準備といえるでしょう。
住宅ローンを組む際には、収入面だけでなく年代別に気を付けておきたいポイントがあります。
30代から60代までそれぞれ紹介しますので、当てはまる年代のポイントを確認してみてください。
30代で住宅ローンを組むときには、下記の将来像をしっかり見据えておくことが重要です。
30代の若い年代はローンの返済期間を長く設定できるため、月々の支払いを抑えつつ、無理なく完済を目指すプランが立てやすいというメリットがあります。
ただ、一方で30代は仕事や家族の状況が変わりやすい時期。ローンの支払いに柔軟に対応できる余裕を持っておくことも必要です。
たとえば、子どもがまだ小さいうちは教育費がそこまで大きな負担にならないため、その分を繰り上げて返済しておくのも1つの手。
早い段階で返済総額を減らしておけば、将来的に支払う利息の負担も軽減できるでしょう。
また、変動金利で借り入れをする場合、将来の金利上昇に備えることも重要。
今は無理なく支払えていても、もし金利が上がったらどうなるかをシミュレーションしておき、無理のない範囲で返済額を設定しておくと安心です。
30代で住宅ローンを組む際は現状と将来を見据えた計画がカギ。
家族や仕事の将来も視野に入れながら、長期に渡って無理なく続けられる返済プランをじっくり考えるのがポイントといえるでしょう。
40代で住宅ローンを組むときは、家計とのバランスを考えた計画が重要です。
40代は、収入も安定して自己資金をある程度貯めている方が多く、頭金をしっかり入れておけばローンでの返済額を抑えられます。
ただ、子供の教育費が増えてくる時期でもあるため、返済額に無理が出ないように調整が必要です。
たとえば、返済期間を長めに設定して月々の負担を軽くしておき、余裕ができたときに繰り上げ返済をする方法も。生活や将来設計に合わせて対応できる安心感が生まれるでしょう。
また、完済時の年齢も大きなポイントです。
できるだけ退職までに返済を終わらせるのが理想ですが、無理に短い期間で組むと月々の返済額が大きくなり、生活費に影響が出る可能性もあります。
ある程度の額の頭金を用意し、借入額を抑えながら余裕を持った計画を立てる必要があるでしょう。
教育費のピークを越えた後は、老後に向けた資金作りも視野に。子どもが独立してからの資金を用意できるように、40代のうちから準備を進めておくのが望ましいです。
50台で住宅ローンを組む場合、まず短期間で返済を求められることが一般的なため、毎月の負担が増えやすいことを考えておく必要があります。
若い世代に比べて返済に充てられる期間がおのずと短くなり、希望の金額が借りられないケースも。
貯蓄を使って十分に頭金を用意すれば月々の負担を軽くできますが、それでも返済額が家計に圧迫を与えないよう慎重に見直しが必要です。
また、50代では退職が視野に入ってくるため、退職金の活用先も重要となります。
退職金をローン返済にあてて完済を目指す方法もありますが、老後の生活資金を確保するために無理のない範囲での返済金額を練りましょう。
さらには、50代以降は健康面にも不安が出てくる時期。健康状態によっては、ローンに付帯すべき団体信用生命保険(団信)に加入できない場合もあります。
直近で病気を患ったり、持病などがあれば加入が難しくなることも多いため、50代なら1日でも早く検討しておくのがおすすめです。
貯金や退職金の活用先と、長期的な家計の安定を見据えた計画を立てることが50代でローンを組む際のポイントといえるでしょう。
60台で住宅ローンを考えるなら、しっかりとした資金計画と現実的な将来の見通しが重要です。
まず、返済は主に年金が元になることを踏まえて、無理なく支払える金額を慎重に計算しておく必要があります。
退職金を使って頭金を増やしたり、繰り上げ返済にあてることもできますが、あくまで老後資金に余裕があるかを確認してからにしましょう。
また、年齢的に借入期間がかなり短くなるため、借りたい額まで借りられないことも。うまく借りれない場合は、持ち家にこだわらず、必要な条件を整理して賃貸や借家など柔軟に考えるといいでしょう。
年齢が上がると、健康状態によって団信に加入できない場合も増えてきます。
そんなときは、親が返済を始めて子どもが引き継ぐ「親子リレーローン」も1つの方法です。
もちろん、お子さんと将来の住まいや返済について話し合っておく必要がありますが、検討するだけでもお子さんと将来を見据えて話せるいい機会にもなるのではないでしょうか。
今回は、住宅ローンが何歳まで組めるのかを中心に、ローンが組まれる平均年齢や理想の年齢、ローンを組む際の年代別に気を付けるポイントをご紹介しました。
多くの金融機関では住宅ローンを組める年齢を70歳未満と定めていますが、年齢が上がるほどに資金面・健康面などローン返済が難しくなるリスクも高まります。
住宅ローンをお考えの方は、より早い段階に検討しておくのがおすすめです。
当グッドリビングの「ニコニコ住宅」では、住宅ローンを含めての家づくりをご提案しています。
資金計画に不安がある方、長期に渡って支払っていけるか心配な方は、ぜひご相談ください!