2024.10.01
住宅ローンを組んでマイホームを購入したものの、あらゆる事情で支払いが難しくなることは誰にでも起こりうることです。
転職による収入の減少、病気やケガなど支払いができない理由はさまざまですが、未払いを放置すると最悪の場合、マイホームを手放さなければならない事態になることもあります。
今回は、住宅ローンが払えなくなるとどのようになるのかを、払えない理由とともに解説します。
対処方法もあわせて紹介しますので、住宅ローンの支払いに不安を感じている方は参考にしてみてください。
目次
マイホームの住宅ローンが払えなくなってしまう理由は人それぞれですが、意外にも誰でも払えなくなる可能性があります。
大きく3つに分類できるので、それぞれ理由と原因をご紹介します。
住宅ローンは、借りる際の収入の安定が前提となっているため、予想外に収入が減ると支払いが難しくなる可能性があります。
収入が減る原因として、考えられる理由は次の通りです。
病気やケガなどで長期的に働けなくなる可能性は誰にでもあります。
最近は共働き家庭も増え、世帯収入でローンを組んでいることも多いので、離婚すれば払えなくなる可能性も高いです。
また、マイホームを購入するタイミングが遅くなると、住宅ローンの返済期間が定年を過ぎるまで及んでしまい、支払いが大きな負担になる可能性もあります。
特に、30代~40代でマイホームを購入した場合、ローン返済終了時期が定年を超えることも少なくありません。
住宅ローンを組む際に、しっかりと返済計画を立てていても、予期せぬ支出が重なって支払いが難しくなる可能性があります。
たとえば、事故によるケガの治療費、冠婚葬祭、車や家の修繕費、故障家電の買い替えなどが重なれば、貯金をしていても支払いが難しくなることもあるでしょう。
また、子どもがいる家庭では、大きくなるにつれて教育費も増え、住宅ローンが大きな負担になることもあります。
住宅ローンを借りる際に、きちんと返済計画を立てていないと支払いが難しくなることもあるでしょう。
住宅ローンが占める理想の割合は、手取りの20%と言われており、これを超えると予期せぬ支払いや収入の変化に対応できなくなる可能性があります。
手取額から計算するのは、総収入で計算すると、今後増減するかも分からないボーナス・税金・社会保険料などの不確定要素も含んでしまうからです。
また、30年~40年の長い期間で返済していくため、ボーナスや残業代を当てにした計画も要注意です。
ボーナスや残業代は、業績や社会情勢によって大きく変わるため、目算していた収入がなくなる可能性も考えられます。
返済計画は、手取りの20%を目安に考えつつ、無理のない計画を立てるのが大切です。
住宅ローンの支払いが滞ると、すぐに住まいを失うわけではありませんが、一定の手続きが進行していきます。
一定の手続きについて、順を追って紹介していきます。
1. 1~2ヶ月程度:督促状が届く
住宅ローンを滞納すると、金融機関から「督促状」が届きます。
この段階でペナルティや強制的な措置などはありませんが、ハガキなどによって早く返済することを促されます。
電話やメールなどで連絡が来ることもありますが、入金しておけば金融機関指定日に引き落とされることがほとんどです。
2. 3ヶ月程度:催告書が届く
滞納期間が3ヶ月以上くらいになると「催告書」が届きます。
催告書は「最終的な通告書」となり、法的措置に移行する前の段階で支払いを促されるものです。
もし支払いができない場合は、この段階までに金融機関にその旨を伝え、返済計画の変更や猶予措置を取ってもらう必要があります。
3. 5~6ヶ月程度:期限利益の喪失
5~6ヶ月の滞納が続くと「期限利益の喪失通知書」が届きます。
この段階になると、分割でローンを返済する権利がなくなり、一括返済を求められます。
分割での返済は認められず、滞納分を含めた全額を一括で支払わなければならないため、状況はとても厳しくなるでしょう。
4. 6ヶ月以上:保証会社による代位弁済
保証会社付きの住宅ローンの場合、滞納が続くと金融機関は保証会社に代位弁済を請求します。
保証会社は債務者に代わって残りの全額を返済し、その後、返済先は金融機関から保証会社に移ります。
5. 8~9ヶ月程度:競売手続きの開始
代位弁済が行われても支払いが滞っている場合、保証会社は裁判所に「競売」の申し立てをします。
この段階で裁判所から「差し押さえ通知書」と「競売開始決定通知書」が届き、自宅が競売手続きにかけられたことが通知されます。
通知書を受け取った時点で、自宅の所有権を失う可能性が現実になってくるでしょう。
6. 10~11ヶ月程度:裁判所の現況調査
競売の手続きが進むと、裁判所の執行官が現況調査を行います。
物件の現況を確認した上で入札者に対して物件の詳細情報を伝える調査で、執行官が債権者のところを訪れることもあります。
物件の情報は競売の情報として公開されるため、債権者にとって心理的な負担は大きくなるでしょう。
7. 13~16ヶ月程度:競売の完了と強制退去
競売の手続きを終えると、裁判所によって期間入札が始まり、入札者が決まります。
落札者に物件が引き渡されることで物件の売却が完了し、最終的には物件の明け渡しが求められます。
物件の明け渡しに応じなければ、裁判所の指示による強制退去が行われることもあるため、この段階になると自宅を失うのはほとんど避けられません。
住宅ローンを滞納し続けると、最終的には競売にかけられて自宅を失ってしまいます。
滞納して時間が経てば経つほど選択肢が限られてくるため、払えない可能性が出てきた段階で行動しましょう。
住宅ローンが払えなくなった場合、できるだけ早くの対処が必要です。
ここからは、住宅ローンが払えなくなったときの4つの対処方法をご紹介します。
住宅ローンを滞納する前に、まずはできるだけ早い段階で借入れしている金融機関に相談することが大切です。
金融機関にとっても支払いが滞るのは好ましい状況ではないため、返済プランを見直す「返済条件の変更」を提案してもらえる可能性があります。
返済条件の変更には、次にようなものがあります。
毎月の返済額を減らせば月々の負担は軽くなりますが、住宅ローンの総額が減額されるわけではないため返済期間は延びることに。
期間が延びればローンの完済も後ろ倒しになり、その分利息がつくため結果的に総支払額が増えてしまう可能性があります。
金融機関に相談する際は、デメリットを十分に理解して、家計の状況や今後の見通しを立てた上で計画を立てていくことが大切です。
住宅ローンの支払いが難しくなる原因はさまざまですが、対処法としてまずいち早く取り組めるのが、日々の支出を見直して家計を改善することです。
家計の見直しは少し意識するだけで変えられ、ローンの支払いが少し厳しいくらいの状況であれば改善できる可能性があります。
具体的には、毎月の固定費を中心に見直していくのが効果的です。
たとえば、保険料を見直していらない保証を解約したり、携帯の料金プランを見直して無駄なオプションを解除するという方法などが挙げられます。
固定費は毎月の支出にも大きく影響しているため、少しの見直しでも長期的に見れば効果が期待できるでしょう。
もし、どこを削減すれば良いのか分からない場合や、全てできることはやったと感じている場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家からアドバイスを受けるのも効果的です。
家計の見直しは収入が増えるわけではないため、劇的な改善は見込めませんが、少しずつの積み重ねの中で収入と支出のバランスを取っていきましょう。
住宅ローンの支払いが難しくなったときには、金利の低いローンへ借り換えするのも効果的です。
借り換えとは、現在利用している住宅ローンを他の金融機関や異なる条件のローンへ組み直すことで、金利負担や毎月の支払いの軽減が期待できます。
住宅ローンの借り換えで効果が期待できる条件は次の通りです。
ただし、借り換えを行う際には、現在のローンを一括完済する手数料や新たなローン契約の事務手数料が別途かかるため注意が必要です。
返済を軽減する効果がコストを上回るなら、借り換えにメリットがあるといえるでしょう。
住宅ローンの返済が難しくなったときには、思い切って自宅を売却するのも一つの選択肢です。
売却価格がローンの残高を上回れば、売却と同時にローンも完済できるためスムーズに進めますが、売却価格が残債を下回れば自己資金で完済したり、「任意売却」という方法を検討することになります。
任意売却とは、金融機関の合意を得てローンが残っている状態で通常の売却と同様の手続きで進めるもので、競売よりも高値で売れる可能性があります。
また、自宅の売却を検討しても引っ越したくないという場合には「リースバック」も選択肢です。
リースバックは家を売却した後も、新たな所有者に家賃を支払う形で住み続けられるサービスのことで、ローンの返済から開放されつつも同じ住環境でそのまま生活できるメリットがあります。
どの方法を選ぶにしても、支払いが難しくなってから時間が経つほど状況は悪化する可能性が高いため、早いうちに行動することが大切です。
今回は、住宅ローンが支払えない理由や対処方法について解説しました。
住宅ローンは30年~40年かけて支払っていくため、支払期間の中で大幅な収入減や支出増は誰にでも起こる可能性があります。
住宅ローンを滞納し始めてすぐに住まいを失うことはありませんが、早いうちに金融機関への相談や支出の見直しなどを検討していきましょう。
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