Column
コラム

2024.08.10

耐震等級が「意味ない」って言われるのはなぜ?取得する後悔やメリットを解説

家族が安全に暮らせる家づくりを考えたときに、気になるのが住宅の耐震性能。

どこの地域に住んでも地震の恐れがある日本だからこそ、家の耐震性は万全にしておきたいですよね。

その基準となるのが耐震等級ですが、「耐震等級は意味ない」という意見がしばしば見られます。

今回は、耐震等級は意味がないと言われてしまう理由を踏まえて、取得する際の後悔ポイントやメリットを解説します。

耐震等級で不安になった方は、ぜひ理解を深めてよりよい家づくりに役立ててくださいね。

 

耐震等級とは?

耐震等級とは、建物の地震に対する強度を評価する全国共通の基準のことです。

地震による建物の損傷や倒壊のしにくさを耐震等級1~3の段階ごとに分けられており、数字が大きいほど耐震性能が高いことを表しています。

耐震等級は専門の第三者である「住宅性能評価機関」が基準に沿って評価しており、住宅に詳しくない人でも地震への強さが分かる指標となるでしょう。

 

耐震等級1~3ごとの違い

耐震等級には1~3の段階がありますが、各等級ごとの違いは以下の通りです。

耐震等級1
  • 建築基準法の定める耐震基準と同程度の耐震性能
  • 震度6強~7程度の稀に発生する地震にでも崩壊・倒壊しない
  • 震度5強程度の規模の大きい地震でも損傷が生じない
耐震等級2
  • 耐震等級1の1.25倍程度の耐震性能
  • 災害時に避難場所となる学校や病院などの公共施設に求められる耐震性
耐震等級3
  • 耐震等級1の1.5倍程度の耐震性能
  • 災害時に救護活動の拠点となる消防署や警察署に求められる耐震性

 

耐震等級が「意味ない」と言われる理由とは?

地震に対して確かな耐震性を表す耐震等級ですが、なぜ「意味ない」と言われることがあるのでしょうか。

「意味ない」と言われる理由をチェックしてみましょう。

 

新築住宅の全てが耐震等級1になるのを義務づけられているから

耐震等級が意味ないと言われている理由の1つに、新築住宅はすでに耐震等級1程度の強度を持っているというのがあります。

新しく家を建てる際は、必ず建築確認という審査を受けなければならず、全ての家が建築基準法の耐震基準を満たすことになります。

耐震基準を満たす耐震性は「耐震等級1」に該当し、十分な強度を期待できるため、わざわざ費用をかけてまで耐震等級2・3を取得する必要がないと考える人もいるでしょう。

 

耐震等級が高くても繰り返される地震でダメージを受けるから

耐震等級は意味がないと言われてしまう理由2つめは、高い耐震等級を取得しても、建物には地震によるダメージが蓄積されていく点です。

大きな地震に1度耐えたとしても、日本では幾度となく地震は繰り返されます。そのため、住宅の柱や梁などに徐々にひずみが生じていく可能性も否めません。

いざという時に、費用をかけて取得した耐震等級が発揮できなければ意味がない、と考える人もいるでしょう。

 

倒壊を必ず防げる訳ではないから

耐震等級は意味がないと言われてしまう理由3つめは、倒壊や崩壊を100%防げる保証をしている訳ではないという点です。

住宅の耐震等級はあくまで目安であり、どんなに耐震性が高くても絶対に倒壊や被害がないとは言い切れません。

今後、経験したことのない程の大地震・土砂崩れ・津波などの被害を受ける可能性もゼロではないため、耐震等級を取得する意味はないと考える人もいます。

 

耐震等級3を取得するためにありがちな3つの後悔

耐震等級3を取得した住宅には確かな耐震性能が期待できますが、後悔するケースもあります。

構造部分関与する耐震等級は建築が始まってから変えることは難しいため、先にありがちな後悔ケースを理解しておきましょう。

 

間取りや建築の制限が増える

耐震等級3を取得するためには、壁・梁・柱など住宅の構造部分の配置やバランスが重要となります。

そのため、窓の大きさ・壁の位置など間取りの自由度が下がってしまう可能性は高いです。

耐震等級3を基準にすると、大きな窓や柱の少ない大空間などを叶えるのが難しい場合もあるので、理想の家のイメージが強い人は特に注意しましょう。

 

建築や認定にコストがかかる

耐震等級3を取得するためには、より高い耐震性が必要なため、材料費や人件費などその分のコストがかかります。

また、家の建築にかかるコストだけでなく、耐震等級3を取得するための申請・調査費、構造計算費なども必要になる場合が多いので、耐震等級3を取得している家は総合的に高くなりがちです。

耐震等級3を標準装備としている工務店やハウスメーカーなら、費用がもともと含まれていることも多いですが、そうでない場合は50万円程度は高くなることを想定しておきましょう。

 

耐震等級3“相当”だった

注意すべきなのは、耐震等級3を取得していると間違えやすい“耐震等級3相当”という場合です。

そもそも耐震等級3は、国が認めた第三者機関である住宅性能評価機関に認定されることで得られます。

そして、耐震等級3“相当”というのは「第三者機関の認定は受けていないけど、自社の計算によると耐震等級3と同等くらいの耐震性がある」といったケースです。

「耐震等級3と同じくらい耐震性があるなら大丈夫じゃない?」と思う人もいるかもしれませんが、『自社による計算がどの程度信用できるのか?』という点が、施工主からは判断が難しい部分があるでしょう。

また、後ほど解説しますが、第三者機関の認定を受けた耐震等級3でなければ住宅ローンなどの優遇措置も受けられないので、耐震等級3“相当”には特に注意が必要です。

 

実は耐震等級3を取得するメリットも多い

耐震等級3には、注意する点や取得するために後悔したケースも確かにありますが、実はそれ以上に取得するメリットも大きいです。

ここからは、耐震等級3を取得するメリットについて解説していきましょう。

 

地震保険で割引が受けられる

地震・地震による津波・噴火などでの被害をまかなうための地震保険では、耐震等級に応じて保険料の割引きが受けられます。

  • 耐震等級3 ⇒ 割引率50%
  • 耐震等級2 ⇒ 割引率30%
  • 耐震等級1 ⇒ 割引率10%

耐震等級1でも10%の割引きは受けられますが、耐震等級3の割引率50%とは大きく差があるので、地震保険にかかるコストも大きく違ってきます。

地震保険は、複数年単位での契約をする場合が多いため、目に見えてコストの差が出てくるでしょう。

 

住宅ローンの金利が優遇される

住宅ローンの金利の優遇は、耐震等級3などを加入条件としている場合も多いです。

例えば、耐震等級3で加入できる住宅金融支援機構の「【フラット35】S(金利Aプラン)」では、5年間0.5%の金利引き下げを受けられます。

住宅金融支援機構の計算によると、この優遇措置で通常の【フラット35】よりも総返済額が約80万円程度お得になるとのことです。

住宅ローンや保険料は、長期的に常にかかり続けるコストだからこそ、割引率なども視野に入れて検討していきましょう。

 

大きな地震でも倒壊を防げる可能性は高い

認定済みの耐震等級3を持つ住宅の耐震性能は非常に高く、大きな地震でも倒壊を防げる可能性は大いにあります。

2016年の熊本地震では震度7相当の地震が発生しましたが、耐震等級1の住宅には倒壊や大破したものがあったのに対し、耐震等級3を持つ住宅は無被害か軽度の損傷だったようです。

このことから、耐震等級は大地震に対する建物の損傷や倒壊に効果があることが分かっています。

日本では南海トラフ地震など、今後も大地震が発生すると予想されています。

耐震等級3を取得していれば確かな耐震性を期待できるので、いつ来るか分からない大地震への安心材料になるでしょう。

 

【まとめ】グッドリビングのGLシリーズは耐震等級3を取得

今回は、耐震等級を「意味ない」と言われてしまう意見や後悔するケースを紹介しつつ、メリットについて解説しました。

耐震等級3はコストがかかるから不要という意見がある一方で、2016年の熊本地震では耐震等級3の住宅の全てが倒壊を免れ、確かな耐震性があることが分かりました。

今後も、いつ・どこで大地震が起こるかわからない日本の住宅に高い耐震性能が求められるのは、もはや標準です。

当グッドリビングのGLシリーズでは、許容応力度計算による住宅の構造計算で耐震等級3の取得を推進しております。

耐震等級取得には別途費用が掛かりますが、間取りのご希望を叶えつつ地震に強い家づくりをご提案しておりますので、ぜひお話をお聞かせください!

 

PAGE TOP
ページトップ