2024.08.10
住んでいる家の築年数が高いと、「どのくらいの耐震強度があるのか」と心配になる方もいるのではないでしょうか。
日本で「住宅」を建てるなら、「地震に強い家」を重視したいもの。
地震大国の日本には、住まいが一定の強さの地震に耐えられるよう、建築基準法や施行令によって耐震基準が定められています。
耐震基準は大きく3回改正されており、耐震性を知るには「いつ建物が建てられたか」が重要なポイントとなります。
1981年以前のものは「旧耐震基準」、それ以降は「新耐震基準」で区分され、大改正が行われました。
さらに「新耐震基準」は1995年の阪神淡路大震災を機に、耐震基準を厳しくした「2000年基準」に改定されています。
そこでこの記事では、それぞれの基準の違いや、「地震に強い家」を建てるためのポイントについて解説します。
目次
耐震基準とは、建築基準法で定められた制度の一つで、「地震発生時に建物の倒壊によって、居住者が危険にさらされることなく、安全に避難できるようにする」ための基準です。
これは「国民の生命、健康および財産を守ることを目的とした、地震による最低限の耐性基準」であり、地震が起きても建物が壊れず、そのまま住み続けられるという意味ではありません。
そのため、もし災害にあった場合は、必要に応じて改修が必要です。
耐震基準は法律で義務付けられているため、もし基準を満たしていない場合、建物の設計や建築は許可されません。
耐震基準は大きな地震があるたびに検証し、改正されてきました。現在では「旧耐震基準」「新耐震基準」「2000年基準」の建物が混在しています。
よく耳にする耐震等級というのは、『品確法(住宅品質確保促進法)』が定める『住宅性能表示制度』の一つで、地震に対する建物の強度(耐震性)を示すものです。
こちらは任意制度のため、必ずしも認定を受ける必要はありませんが、住宅ローン控除や補助金を受ける時に必要な指標となっています。
等級1から等級3までの3段階で表され、等級2は等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍の強さがあると定義されます。
建物が「旧耐震基準」か「新耐震基準」かは、「いつ建てられたか」がポイントです。
旧耐震基準とは、1950年から1981年5月31日までに、建築確認申請承認を受けた建物に適用された基準です。
主に「震度5程度の地震でも、建物に大きな損傷を受けないこと」を基準として定められました。
しかし1978年に起きた宮城県沖地震で、多くの建物に大きな被害を受けたため、その後、旧耐震基準は大きく改正されました。
新耐震基準とは、1981年6月1日以降で確認申請承認を受けた建物に適用された基準です。
先述したように宮城県沖地震での被害から、「震度6~7程度の地震でも倒壊しない、または多少の損傷は許容」する構造基準として改正されました。
しかし「過去最大の自然災害」(東日本大震災以前)といわれた、1995年に起きた阪神・淡路大震災は、大きな被害をもたらしました。
阪神・淡路大震災はマグニチュード7.3、宮城県沖地震はマグニチュード7.4と地震の大きさは変わらなかったものの、宮城県沖地震の約14倍もの建物が全壊し、圧倒的な差があったのです。
その影響から、厳しい基準を設けることになり、2000年6月1日に「2000年基準」が制定されました。
「新耐震基準」は震度6~7程度の大地震でも建築物が倒壊しないために、以下のような基準が設けられました。
【新耐震基準】
構造計算の強化 | 厳密な構造計算による設計 |
耐力壁の設置 | 筋交い壁や構造用合板壁、耐力パネルなど |
柱・梁の強化 | 耐震に適切な太さや断面積、接合部の強化など |
耐震基礎 | しっかりと地盤に固定された基礎 |
「2000年基準」は、さらに「四分割法によるバランス規定」、「床の剛性(硬さ)」「地盤調査による基礎構造」が求められるように。
「四分割法によるバランス規定」とは、家の平面を4分割し、耐力壁をバランスよく配置することです。
これにより、地震時によって建物にかかる力を均等に受け止め、大きな損傷や倒壊を防げるようになりました。
また壁だけでなく、床の剛性(硬さ)も求められるように。
床を強くすることで、建物全体の変形を防げるため、重量な要素として見直されました。
さらに、阪神・淡路大震災は地盤沈下による被害も多くみられたことから、安全に建物が建てられる地盤かどうか調査し、必要に応じて地盤改良工事も行うことが 義務 付けられるように。
また当時は縦揺れにより土台から柱が抜けることが多発したため、接合方法や使用する金物に細やかな規定が設けられました。
【2000年耐震基準】
四分割法によるバランス規定 | 建物にかかる地震時のエネルギーを均等に分散させて倒壊を防ぐ 家の平面を4分割し、耐力壁をバランスよく配置 |
床の剛性 | 高剛性の材料や床組みのスパンを適切に設定し、剛性を高める |
地盤調査による基礎構造 | 事前の地盤調査は必須とし、必要に応じて地盤改良工事を行う |
接合部分の細かな規定 | 木材同士の結合部や柱と梁の接続部に強度や剛性を高める工法や金具を用いる |
耐震基準を満たしていない場合、現行では建物は建てられません。
しかし建築確認申請時に基準を満たしていたとしても、適用された基準によって耐震性の程度は異なります。
2016年に起きた熊本地震では、適用された耐震基準別の被害状況が調査されています。
【2016年熊本地震・木造住宅の建築時期別に見た被害状況のようす】
※参照:国土交通省 住宅局「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」より
この調査によると、旧耐震基準の住宅は約3割が全壊していたのに対し、2000年基準は2.2パーセントとほぼ見られませんでした。
つまり耐震基準を満たしていても、適用されているのがどの基準かによって被害に差があることがわかります。
それ以外にも、シロアリや建物の老朽化の影響により、耐震性が劣っている可能性も。
築年数が経ってきたら、建て替えや耐震診断を検討してみるとよいでしょう。
大規模な地震は、いつまた起こるかわかりません。万一に備え、「地震に強い家」を建てるためにはどうすればよいのでしょうか。ここでは3つの対策を紹介します。
2000年基準で「基礎部分」の構造強化が求められるようになったことから、木造住宅の建築には「地盤調査」が必要です。
一般的に、標高の高いところは硬い地盤が多いといわれていますが、斜面が多い地形のため、造成をして平らにした土地は注意が必要です。
また平野部でも地盤の強い・緩い場所はあるので、地盤調査をしたうえで、必要に応じて地盤補強をするようにしましょう。
地盤改良の費用は業者によってさまざまですが、「表層改良工事」「柱状改良工法」「小口径鋼管杭工法」の順に費用はかかります。
コストを抑えるなら、できるだけ安定した地盤の土地を買っておきたいもの。
国土交通省のハザードマップや、地盤情報の検索 サイト も参考にしながら、土地情報をチェックしておきましょう。
家の構造を強くするなら、「耐力壁を増やす」「主要部材の接合部に金物を設置する」が挙げられます。
また免震・制震技術も必要です。
グッドリビングの家は、制震ユニット「MIRAIE(ミライエ)」が標準装備されています。
これは住友ゴム独自の制震技術を生かし、なんと震度7の揺れ幅を最大95%まで低減が可能。
また「90年経過しても ほとんど性能が変わらない」ほどの、耐久性もあります。
家の形状によっても、壊れにくさは違います。
たとえば、正方形や長方形といったシンプルな形は、地震時にかかる負荷が均等になるため、壊れにくくなります。
とくに平屋はシンプルな形にしやすく、さらに2階など上からの荷重もないため、おすすめです。
耐震性に優れているだけでなく、階段がないため、移動の負担が少ないのもメリット。
高齢になっても暮らしやすい間取りが可能です。
【コラム】25坪3LDKの平屋とは?|家族で暮らすには丁度いい!幅広い世代に人気の間取り
新築の戸建てを建てるなら、耐震基準をクリアすることは必須です。しかしさらに耐久性の高い家を目指せば、国からの補助金などを受けられるメリットがあります。
耐震等級2は、補助金に係る要件の一つであることが多いので、今後建て替えや新規に住宅を購入するなら、ぜひ検討してほしいところ。
耐震等級1とは「新耐震基準を満たしたもの」で、震度6強から7程度の地震でも耐えられることを指し、耐震等級2は「耐震等級1の、1.25倍」の耐震強度があります。
具体的には、災害時の避難所として指定される学校など、公共施設に適用するほどの強度と言われています。
これは両親や祖父母など直系尊属から、住宅を新築・取得・増改築のための資金を受け取る際に、一定額の贈与までは非課税にできるというものです。
「質の高い住宅」は1,000万円、「一般住宅」は500万円とで限度額が異なります。
「質の高い住宅」とされるには、「耐震等級2以上」、「免振建築物であること」が求められます。
【質の高い住宅の要件】いずれかに該当すること
※令和5年末までに建築確認を受けた住宅又は令和6年6月30日までに建築された住宅は、断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上
これは「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅が受けられる補助金制度」です。
長期優良住宅は8つの認定基準があり、その中の一つに「耐震性」があります。
その内容は以下になり、いずれかに該当することが必須です。
長期優良住宅と認定されると、以下のようなメリットがあります。
子育てエコホーム支援事業制度 | 子育て世帯や39歳未満の若者夫婦が対象 1住戸につき100万円の補助金※がもらえる ※市街化調整区域や土砂災害警戒区域、浸水想定区域は50万円/戸 |
住宅ローン減税制度 | 入居時から最長13年間にわたり、所得税や住民税が控除される制度 控除額は年末の住宅ローン残債の0.7% |
固定資産税特例 | 固定資産税が一定期間、1/2に減額される 一般住宅が3年間に対し、長期優良住宅は5年間 |
認定が通るには耐震性以外の基準もクリアしなければなりませんが、メリットはたくさんありますので、家の性能を重視するならおすすめです。
「フラット35」は、長期固定金利タイプの住宅ローンです。
特徴的なのは、住宅性能によって、利用できる金利プランが異なるという点。
例えば、耐震等級3の住宅なら当初5年間の金利が0.5%引き下げられる「金利Aプラン」、耐震等級2または免震建築物なら当初5年間の金利が0.25%引き下げられる「金利Bプラン」というように、住宅の性能によって利用できるプランが異なります。
また地震等級によって、地震保険の割引も適用されます。
住まいの耐震に不安がある人は、各自治体に耐震診断を受けられるか相談してみるのがおすすめです。
自治体のほとんどが無料で診断を行っています。
診断を受けることで、工事や建て替えの必要性がどれくらいか知る機会となりますし、今後の見立ても建てられますので、ぜひ利用してみましょう。
この記事では「旧耐震基準」「新耐震基準」「2000年基準」について解説しました。
大きな地震での被害を踏まえて、その都度見直されてきた耐震基準。
建築当時には耐震基準を満たしていても、その基準で建てられたかによって、被害の程度には差が生じます。
自分の家がどれほどの耐震性があるのかは、耐震診断によって明らかにできます。
もし不安があるなら、今後のためにも利用してみるのもおすすめです。
「長く安心して暮らせる家」を希望されるなら、ぜひグッドリビングにお任せください。
グッドリビングは神奈川・静岡・愛知・岐阜県を中心に、施工実績を積んできた会社です。
「いい家を、より安く。」をコンセプトに、高品質住宅を低コストで実現する家づくりを行ってきました。
家の構造には、住友ゴム独自の制震技術である「MIRAIE(ミライエ)」を採用し、震度7の揺れ幅も最大95%低減。
グッドリビングの家は、一度の地震で倒壊を防ぐための「耐震性」だけでなく、揺れによる衝撃を抑える「制震性」も重視しています。
これにより、繰り返し起こる地震での変形・倒壊を防げます。
気になる方は、ぜひグッドリビングのモデルハウスにお越しください!
家づくりのヒントもたくさん見つかるはずですよ。
その他、家づくりの疑問点や費用面、土地探しのことなど、無料相談もおこなっています。
気になる方は、ぜひお気軽に資料請求・お問い合わせくださいね。
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