2024.07.01
最近、新築の戸建てでは、天井を部分的に低くした「下がり天井」のキッチンが人気傾向にあります。
天井を下げることで空間にメリハリができ、スタイリッシュなデザインにあこがれを抱く人が多いようです。
そこで今回は、「下がり天井」のキッチンに注目して、そのメリットやおしゃれな空間を作るポイントを紹介します!
目次
戸建て住宅の天井の高さは、一般的に2.4メートル前後です。
これに対し、意図的に天井の高さを低くした部分を「下がり天井」といいます。
最近ではキッチンに採用するケースが多く、15~20センチほど低くするのが一般的です。
折り上げ天井と比較されることも多いのですが、こちらは「天井の中央部分を周囲より一段高く仕上げている天井」のことを指し、工法が異 なります。
下がり天井には「向いている間取り」「向いていない間取り」があるのでしょうか。ここではLDKに焦点をあてて解説します。
「下がり天井」はリビングをできるだけ広々と見せたい、キッチンとリビングの間にできるだけ壁をつくりたくない人におすすめです。
たとえば、壁から独立して配置する「アイランドキッチン」や、「ペニンシュラキッチン」を採用している間取りに向いています。
また独立型のキッチンは、前面が壁に設置しているI型キッチンよりも奥行きがあるため、「LDKの広さにゆとりがある」ことも条件のひとつといえるでしょう。
「下がり天井」は天井が低くなるため、圧迫感を感じることもあります。
LDKの広さに余裕がない場合や、もともとの天井が低い場合は、避けたほうがよいでしょう。
おしゃれなデザインが人気の「下がり天井」。天井を下げると、どのような効果が得られるのでしょうか。ここではそのメリットについて5つ、ご紹介します。
「とにかく見た目がかっこいい!」
そのおしゃれなデザインに惹かれて、興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。
「下がり天井」は、低い部分の面積や天井部分に貼る素材、照明によって、自分好みの空間がつくれます。
選択肢の幅が広がり、自由度の高いインテリアデザインが作れるのは、やはり大きな魅力でしょう。
「下がり天井」は天井に凹凸ができるので、空間を視覚的に分けられます。
キッチンを際立たせたい場合や、雰囲気を変えたい場合に取り入れると効果的です。
フロア をゆるやかに仕切れるので、なるべく壁や間仕切りを作りたくない人にもおすすめ。
キッチンとリビングを遮る壁がないので、すっきりとした印象に。
また高低差による対比効果により、天井の高い部分がより高く感じられ、開放的で広々とした印象にもなります。
選ぶ素材や色にもよりますが、雰囲気を容易に変えられるというのもメリット。
一般的に、狭い空間は「人を安心させリラックスさせる効果がある」といわれています。
天井を部分的に下げることでも、その効果は心理的に働き、居心地の良い、落ち着いた雰囲気を演出できます。
アイランドキッチンの場合、レンジフードの排気 ダクトは天井から外部に抜けるように設置しますが、家の構造によっては配管の一部がキッチン側に飛び出すことがあります。
その場合も「下がり天井」なら自然に隠すことが可能です。
またレンジフードの上部には天井とレンジフードをつなぐ役割として、調整カバーをつけるのが通常です。
しかし、つなぎ目が目立ち、見た目が気になってしまうことも。
天井を低くすれば、調整カバーも短くなるので、よりすっきりとした印象になります。
部屋のインテリア性を高められる「下がり天井」ですが、天井を低くする上で注意すべき点もあります。具体的にどのようなものがあるのか、ひとつひとつ見ていきましょう。
まずデメリットとして考えられるのが「圧迫感」です。
物理的なものから個人差によって、感じ方はそれぞれ異なりますので、以下の2つに留意しましょう。
下がり天井は、「間接照明を設けるスペース」や「視覚効果を得る」ために、15~20cm程度下げる場合が多いです。
つまり一般的な天井高である「2.4メートル」の場合、下がり天井部分は「2.2メートル前後」になります。
天井が下がると、場合によっては窮屈に感じることも。
たとえば同じ天井高でも、身長が低い人より高い人のほうが、圧迫感を感じやすくなるでしょう。
その場合、「ベストな高さはどれくらいか」を事前に検討した上で、天井の下がり幅を打ち合わせしておく必要があります。
圧迫感は「部屋の広さ」や、「下がり天井の大きさ」によっても影響します。
たとえば部屋が狭い場合、下がり天井の面積が大きいと、より狭く感じます。
下げる部分をキッチン全体にするのか、ダイニングも含めるのか、キッチンの手元のみにするのか、など部屋の広さに応じて、配分を検討しましょう。
レンジフードを設置する高さは、建築基準法や消防法によって以下のように決められています。
建築基準法 | 火の発生元(コンロなど)からレンジフード下端までの距離は「100cm以下」とする |
消防法 | 火の発生元(コンロなど)からレンジフード下端までの距離は「80cm以上」離す |
つまり、レンジフードはコンロから「80~100㎝以内」の離した場所に、設置しなければなりません。
キッチンは、「カウンター(コンロ)の高さ」と「レンジフード下端までの高さ」「レンジフードの高さ」を考慮して、天井高を決める必要があります。
身長に適したキッチンの高さは「身長÷2+5」で算出できます。以下はその一例です。
ここで、天井高2.2メートルにした場合を考えてみましょう。
キッチンの高さが85センチ、レンジフード本体の高さを50cmと仮定すると、キッチンからレンジフード下端は85センチ離れていることになります。
これは規定されている基準を満たしています。
しかしレンジフード下端は、床から1.7メートルの位置にあることになり、背の高い人だと頭をぶつけてしまう可能性も。
こうした事態を防ぐためにも、身長にあったキッチンカウンターの高さと、レンジフードの高さを考慮した上で、天井高を決めるようにしましょう。
キッチン全体の天井を下げると、吊戸棚や食器棚の高さにも干渉する場合があります。
たとえば背面に吊戸棚とカウンターを取り付けた場合、吊戸棚の位置によっては使いづらさを感じることも。
カウンターと吊戸棚の距離はどれくらい離すのか、吊戸棚本体の高さはどれくらいか、など検討しておく必要があります。
ほかにも収納の扉や、背の高い家電に支障はないかなど、しっかりとチェックしておきましょう。
「下がり天井」は通常の施工と異なりますので、追加費用がかかります。
広さや選ぶ素材にもよりますが、施工業者によって費用はさまざまですので、事前にどれくらい必要か確認しておきましょう。
また間接照明を使うなら、凹んだ部分にほこりがどうしてもたまってしまいます。
掃除の手間もかかることも考慮しておきましょう。
ここまでその魅力や注意点について解説してきた「下がり天井」。「ぜひ取り入れてみたい」という方に、おしゃれに見せるポイントを3つご紹介します。コツを上手におさえて、素敵なキッチンを目指しましょう。
もっとも効果的なのが、「下げた天井部分の色や素材を変える」手法です。
一般的な天井は「白 」か「ベージュ」が多いですが、異なる色や素材を使うことでメリハリができ、デザイン性の高い 住まいがつくれます。
後悔や失敗なく取り入れるコツとしては、キッチンや家具、フローリングに合わせてコーディネートすること。
実際の素材感を出すために木板を張るのもひとつですし、木目調のクロスや同系色のカラーを使うだけでも、統一感があり、まとまりのよい仕上がりに。
また天井だけでなく、キッチン背面の壁にもアクセントをもってくるのもおすすめ。
壁紙であえて使っていない色に挑戦したり、ぬりかべ、タイルなど素材を変えてみても素敵ですよ。
奥まった壁に濃い色を使えば、奥行きが生まれ、さらに広く感じることも期待できます。
もうひとつのポイントとしては、「下り天井の形に変化をつける」方法です。
たとえばキッチンのラインに合わせて細長くすると、シャープな印象になり、キッチン全体を覆うようにすると、まるでその部分だけが別空間であるかのような印象を与えます。
その 他にも 、天井にカーブをつければ、ナチュラルでやわらかいイメージに。
「下がり天井」は、ある程度、場所を絞った方が綺麗に見えます。
アクセントにしたい部分を見極めて、余白とのバランスを見ながらデザインを決めましょう。
おしゃれにするなら、ぜひ取り入れていただきたいのが「間接照明」です。
間接照明とは、壁や床、天井などに光を照射して、あたかも自ら発光しているかのように空間を演出する照明のことです。
光源を直接見せないので、空間に奥行きや、柔らかいニュアンスを加えることが可能です。
あくまでも間接的に照らすものなので、キッチンならダウンライトやペンダントライトと組み合わせるとよいでしょう。
また光源色を、「白い昼白色」にすれば明るくさわやかに、「オレンジの電球色」なら温かみのある印象になります。
施工方法としては多くの場合、下がり天井の裏側に照明を設けて、コーブ照明(天井面を照らす間接照明)として使います。
照明自体がスリムなので、15cm程の深さを確保できれば、十分に設置できます。
天井高を決める際には、ぜひ参考にしてくださいね。
「下がり天井」は空間をゆるやかに区切り、リラックスした雰囲気をつくれるとお伝えしました。その特性を生かせる場所は、キッチンに限りません。ここではおすすめの場所を3つご紹介します。
和室は基本的に畳に座り、視線が低くなるため、相性のよい場所といえます。
キッチンはリビングと一続きになっているので、全体のバランスをみる必要がありますが、和室は床材から構成する素材がまったく違う場所。
別の空間にしても、違和感なく取り入れられます。
主に就寝する目的となる寝室も「下がり天井」は有効です。
ベッドの頭側の天井を下げて、間接照明で全体をやわらく照らせば、まぶしさを抑えられ、ゆったりとくつろげる場所に。
低い天井は心理的にもリラックス効果をもたらしますので、深い睡眠が得られることも期待できます。
たとえば暗い部屋でテレビを見続けていると、目が疲れてしまうこともあります。
テレビ上部の天井を下げて、間接照明を取り入れると、周囲との明るさの差が軽減され、目への負担が少なくすみます。
光源の向きを下にして、テレビ背面の壁を照らすようにすると効果的です。
このコラムでは、今、おしゃれなデザインで人気の「下がり天井の、メリットや注意点について解説しました。
LDKでキッチンの天井を下げれば、壁を作らずとも空間を緩やかに分けられます。
また、素材や照明をアクセントにして、メリハリのあるインテリアデザインが実現できます。
しかし、天井高が低くなれば、以下にある配慮すべき点もあります。
天井の高さを決めるには、これらの点に気を付けて計画することが重要です。
ぜひ今回ご紹介した記事を、今後の家づくりにお役に立てくださいね。
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