2024.06.01
最近、「子ども部屋とは別に、リビングやダイニングにスタディスペースを設けたい」というニーズが増えてきています。
これは、「家事をしながらでも、勉強を通して親子のコミュニケーションをとれる」ことと、「リビング学習は集中力を高め、学力向上につながる」ことが背景にあると考えられます。
ではスタディスペースを設けると、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は、スタディスペースで起こりうるデメリットを解消し、有効に使えるコツについても解説します。
おしゃれな実例もご紹介しますので、ぜひマイホームをご検討中で、お子様の勉強スペースにお悩みの方は、ご参考にしてください。
目次
スタディスペースとは、子ども部屋とは別に、宿題や自習をするスペースのことをいいます。
最近では子ども部屋の広さを4.5畳ほどに抑えて、学習机は置かないご家庭も多いようです。
注文住宅を新築する際には、最初からカウンターデスクを造作することが多く、家事をしながらでも目が届きやすい「リビング」や「ダイニング」に設置するのが主流です。
スタディスペースの定義として、とくに決まりはありませんが、適度に家族とコミュニケーションが取れ、集中しやすい環境がおすすめです。以下はその一例です。
ダイニングテーブルを応用しても良いですが、食事をする時間と重なると、消しかすなどの片づけが面倒にも。
あらかじめ勉強するコーナーを作っておくと、そういった手間がなくなります。
またスタディスペースは年齢に応じて適した場所を用意することも大切です。
まだ学習習慣が身についていない幼児期や低学年は、リビングやダイニングの一部をスタディコーナーとして設置しておくとよいでしょう。
子どももわからないことを親に聞きやすくなりますし、親も子どもが勉強をどれくらい理解しているかなど把握しやすくなります。
一方で、スキップフロアや2階ホールは、リビング・ダイニングよりも直接目が行きにくい場所です。
このような場所は、自分一人でも学習を進められるようになった頃に適しているといえます。
適度に家族とコミュニケーションが取れ、集中しやすい環境をつくるスタディスペース。
ほかにもおすすめしたい魅力がありますので、ここでは代表的なメリットを4つご紹介します。
勉強する場所が決まっていると、小さなうちからでも学習習慣が身につきやすくなります。
おすすめは、帰宅してからの動線の中にスタディスペースを配置すること。
さらに学校の荷物を収納できるスペースがあると、宿題をした後の片付けまでの流れもスムーズです。
【帰宅後の動線一例】
リビングなど親の目が届くところは、子どもも適度な緊張感を持って机に向かえます。
またテレビや家族の話し声などが聞こえる中で学習を続けることは、集中力の向上にもつながります。
リビングは家族と過ごす楽しい場所ですので、「早く宿題を終わらせて家族と遊びたい」と考える動機付けにもなるでしょう。
こうした習慣で期待できるのは、ほかのどのような環境でも集中力を発揮できること。
日々の学習に限らず、受験勉強や将来の仕事においても、その力は財産となるでしょう。
リビングやダイニングテーブルをスタディスペースとして使うと、食事の際などほかの家族が使いたいときに片付けが必要になります。
消しかすや鉛筆の汚れなどの掃除が必要ですし、勉強がキリのよいところで終わらず、家族を待たせてしまうこともあるでしょう。
一方、スタディコーナーがあれば、勉強が途中でも片付ける必要が無く、食事が終わったらまたすぐに取りかかれます。
勉強道具や塾の宿題、テキストなども所定の場所に置けるようにしておけば、リビングが散らかるのも防げるので、家族のストレスも少なくなります。
スタディスペースは、子どもが成長して使わなくなったあとでも、さまざまな用途で使えるのもメリット。
PCを使ったワークスペースや、書斎、手芸など、趣味の場としても利用できます。
収納スペースや、郵便物などを一時的に置けるカウンターとしても便利です。
学習机は子どもが巣立った後、使われずにそのまま放置されるか、破棄されることが多いもの。
しかし、スタディスペースは家族のライフスタイルにあわせて、用途をもたせることが可能です。
スタディスペースにはメリットがある一方で、兄弟人数や間取りによって、プランニングが難しいといったデメリットもあります。ここではその一例をご紹介します。
スタディスペースを計画するには、動線を意識した配置、使用する人数に応じたスペースの確保、必要な設備(収納・コンセントなど)を検討する必要があります。
ここをあやまると、「生活スペースが圧迫される」、「勉強に集中できない」といった問題が出てきます。
リビングやダイニングの場合、ほかの家族がくつろぐ時間と干渉してしまうのも懸念されます。
たとえば兄弟が複数いる場合、時間割や習い事によっては宿題をする時間が異なることも。
宿題をまだ終えていない子どもがいる横で、宿題を早々に終えた子どもが遊んでいると、やはり気が散りやすくもなります。
子どもが勉強を終えるまで、ほかの家族はテレビを見るのを控えるなど、家族間でのルールや配慮が必要です。
せっかくスタディスペースを作っても、「結局使わなかった」ということもあります。
その理由としては、以下のものが考えられます。
目が届きやすくなれば、つい親も口を出したくなってしまうことも。
そうなればお互いがストレスになりますので、程よい距離感が持てる工夫をしておくとよいでしょう。
集中できる環境は、子どもの性格や特性によっても異なります。
また年齢に応じても変化するでしょう。
スタディスペースは子どもにあった勉強できる環境を、適宜見直していく必要があります。
スタディスペースの良さをいかすには、現況に適した環境づくりが重要です。ここでは4つのポイントについて解説しますので、しっかりと確認しておきましょう。
スタディスペースの奥行きや幅が狭いと、使い勝手が悪くなってしまう可能性があります。
勉強など作業するうえで快適なスペースは、以下を目安にして検討しましょう。
奥行き | 最低でも40㎝、PCを使う場合は60~70㎝ |
幅 | 一人あたり100㎝ 二人なら200㎝ |
高さ | 70㎝程度 |
椅子の後ろのスペース | 最低60cm以上 (肘置きのあるイスだと、70~75cmくらいのスペースが必要) |
広さをイメージしていただくなら、子ども2人の場合、だいたい畳1枚分のスペースが必要です。
兄弟が3人の場合、収納を別にすれば上記スペースでも可能ですが、上の子の成長にともなって、手狭になることも。
その場合、勉強しやすい環境を新たに見直してあげるとよいでしょう。
勉強スペースの近くに、筆記道具やテキストを収納できると、部屋も散らかりにくく便利です。
整理整頓されていれば、勉強に取り掛かるまでの時間が短縮でき、片づけの習慣がつくのも期待できます。
カウンターデスクの下に引き出しを設置するほか、カウンター上部の壁に棚などを設けて、本棚を作ってあげると、使い勝手はさらに良くなりおすすめです。
スタディスペースで、意外と見落としがちなのが、照明やコンセントといった設備です。
コンセントはパソコンやタブレット、携帯電話の充電のほか、電動鉛筆削りやデスク照明に使用します。
コンセントの口が足りないと、あとで配線を増やす必要があるので、最低でも1人あたり4口コンセントを設けるようにしておきましょう。
カウンターデスクに穴をあけて、デスクの下にコンセントを設置すると、配線がすっきりしておすすめです。
また、リビングなどの天井に設置された照明だけだと、勉強するには明るさが足りず、暗く感じることも。
その場合は「デスクの上に照明を置く」、「壁に照明を設置する」など、手元の明るさをしっかり確保しておきましょう。
家族の気配を感じながらも勉強できる環境には、「空間を仕切る工夫」も取り入れると、より集中しやすくなります。
具体的には、
などがあげられます。
間仕切りや壁を作るのは、比較的簡単な方法です。
しかし間取りや家の広さによっては、リビング・ダイニングのスペースがひっ迫してしまうことも。
その場合は、和室や吹き抜けを検討するのもおすすめ。
また天井高を利用した、スキップフロアも半個室のような空間になり、集中して作業するのに最適です。
グッドリビングは、お施主様のこだわりを詰め込んだ家づくりを、数多くお手伝いさせていただきました。その中で、スタディースペースのある間取りの事例を2つご紹介します。
リビングの一角に設けたスタディスペースの事例です。
壁で仕切り、上部には棚が設置されています。北欧風のアクセントクロスが素敵ですね。
キッチンからお子様の様子が見えるので、家事をしながらでも声かけもしやすい間取りになっています。
高い天井高をいかして、スキップフロアを利用したスタディスペースの事例です。
家族がくつろぐリビングとフロアを分け、程よい距離感が作れています。
キッチン、リビング、ダイニングからコミュニケーションがとりやすく、お子様も家族の気配を感じながら安心して勉強できます。
子どもが高学年から中学生になると、勉強量も増え、机に座る時間も長くなります。
そのような場合、家族の気配を感じやすい環境では、お互いが気になりストレスを感じることもあるでしょう。
そのタイミングで、勉強する場所は子ども部屋に移行するのをおすすめします。
最近は子ども部屋をコンパクトにするご家庭も多いですが、4.5畳ほどあれば勉強机とベッドは十分に置けます。
服の収納はファミリークローゼットを活用するなど、プランニングの段階で、スペースを有効に使えるようにしておきましょう。
この記事ではリビングやダイニングなどに併設したスタディスペースについて解説しました。
スタディスペースは、親子のコミュニケーションがとりやすいだけでなく、子どもの勉強・片付け習慣が身につくこと、学習スペース以外でも活用できるというメリットがあります。
そのスペースを長く活用するには、
ことがポイントです。
今回はその一例をご紹介しましたが、家族構成や間取りによって、最適なスタディースペースをプランニングするには、プロの視点がやはり必要です。
グッドリビングは、「お客さまがイメージする暮らし方」や「家づくりの中でのこだわり」を丁寧にヒアリングし、それを形にしていく過程を大切にしています。
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