COLUMN コラム
家を建てる際に避けて通れないのが地盤調査です。
土地の状態によっては改良工事が必要となり、数十万円から百万円を超える費用が発生することもあります。
そのため、予算に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、地盤改良にかかる費用相場を整理し、支出を抑えるポイントやよくあるトラブルの避ける方法を解説します。
これからマイホームを建てる土地を検討する方は、ぜひ参考にしてみてください。
地盤改良とは?必要となるケースを知っておこう

家を建てる際には、土地の状態に応じて地盤改良が必要になる場合があります。ここでは地盤調査の基礎から改良が必要と判断される条件、実際に工事へ至るまでの流れを整理しましょう。
地盤改良前に行う「地盤調査」とは?
地盤調査とは、建物を安全に支えるために土地の強さや性質を確認する調査です。
住宅を建てる場合、建築基準法に基づき原則として調査を行う必要があります。
調査を通じて地盤の支持力や沈下のリスクを把握し、建物に合った基礎工事や地盤改良の必要性が判断されます。
地盤調査の方法
住宅建設で採用される代表的な調査方法は3つです。
スウェーデン式サウンディング(SWS)試験がもっとも一般的に行われており、小規模住宅に適し、コストも比較的抑えられます。
地下室や大きな建物をたてるなど、より精密な調査が必要な場合は、ボーリング調査が行われます。
ボーリング調査は、土を掘削してサンプルを採取し、地層の性質や地下水の状況まで確認できる方法です。
また、簡易的に土の硬さを測る平板載荷試験もあり、駐車場や小規模建物の場合に利用されます。
地盤調査の方法は建物の規模や地盤の状況によって決められ、必要に応じて複数の手法を組み合わせることもあります。
地盤調査の費用目安
地盤調査にかかる費用は、方法によって以下のように大きく異なります。
- スウェーデン式サウンディング(SWS)試験:5万円前後
- ボーリング調査:20万円~30万円
- 平板載荷試験:10万円前後
木造住宅でよく用いられるスウェーデン式サウンディング試験では、1棟あたり5万円前後が一般的な相場です。
一方、ボーリング調査は精度が高い分コストもかかり、1地点で20〜30万円程度になることもあります。
平板載荷試験は10万円前後で行われるケースが多いですが、調査範囲や条件によって変動します。
調査費用は建築費用の一部に含まれることも多いため、工務店やハウスメーカーに確認しておくと安心です。
地盤改良が必要とされる条件
地盤改良が必要と判断されるのは、次のようなケースです。
- 建物の重さに対して地盤が十分な強度を持たない場合
- 粘土層や埋め立て地から成る軟弱地盤、盛土や造成地、地下水位が高い土地、過去に水田や沼地だった土地、など調査で地耐力が不足していると判断された場合
特に軟弱地盤と呼ばれる粘土層や盛り土が多い土地では、不同沈下のリスクが高まります。
地盤調査の結果で地盤改良の必要性が判断されるということです。
地盤調査から地盤改良までの流れ
地盤調査から地盤改良までの流れは以下のようになります。
【地盤調査】 ⇒ 【地盤改良工事】(改良工事不要なら建築着工) ⇒ 【確認】 ⇒ 【建築着工】
はじめに建築予定地で地盤調査を行い、その結果に基づいて地盤改良の必要性が判断されます。
調査で問題がなければそのまま基礎工事に進みますが、強度不足が判明した場合には改良方法の選定に入ります。
改良工事が完了した後に改めて確認を行い、その後基礎工事へ進む流れが一般的です。
地盤改良工事の種類と特徴

地盤改良工事にはいくつかの工法があり、土地の状況や建物の規模に応じて選定されます。ここでは代表的な3つの工法と特殊な工法について解説します。
表層改良工法
表層改良工法は、地表から数メートル程度の浅い部分にある軟弱地盤を固める方法です。
重機で地盤を掘削し、セメント系固化材を混ぜ込んで土を固め、建物を支える強度を確保します。
適用範囲は深さ2メートル前後までとされ、比較的小規模な住宅や軽量な建物でよく用いられます。
ただし、地中深くまで軟弱層が続いている土地には対応できないため、事前の調査結果を踏まえての工法選びが必要です。
柱状改良工法
柱状改良工法は、地中に円柱状の固化体を作り、建物を支える工法です。
ドリルで地中を掘削し、セメント系の固化材を注入・攪拌して直径60センチ程度の柱を形成します。
深さ2〜8メートルほどの中程度の軟弱地盤に適しており、住宅建築で広く採用されています。
表層改良よりも安定性が高く、不同沈下を防ぎやすいのが特徴です。
鋼管杭工法
鋼管杭工法は、地中深くにある支持層まで鋼管を打ち込み、建物の荷重を杭で直接支える方法です。
深さ10メートル以上の軟弱地盤でも安定した支持力を得られるのが大きな強み。
杭は工場で製造され品質が安定しているため、施工後すぐに強度を発揮できるのもメリットといえます。
費用は他の工法に比べて高額で、木造住宅でも150万〜200万円程度に及ぶことがあります。
そのほかの特殊工法
一般的な工法で対応できない場合には、薬液注入工法や深層混合処理工法といった特殊工法が検討されます。
薬液注入工法は、地中に薬液を注入して土粒子を固め、地下水の影響を抑えながら強度を高める方法です。
一方、深層混合処理工法は、大型の機械で地中深くまで固化材を混ぜ込み、地盤全体を補強する工法です。
住宅規模では採用例が少ないですが、土地の安全性を確保するために必要となるケースもあります。
【工法・坪数別】地盤改良にかかる費用相場

地盤改良の費用は、採用する工法と建築予定地の広さによって大きく変わります。
一般的に表層改良工法はもっとも安価で、柱状改良、鋼管杭と進むにつれて費用は高額です。
また、建物の規模が大きいほど改良範囲も広がるため、総額も上昇します。
以下の表は代表的な工法ごとに、坪数別での費用目安をまとめたものです。
工法 | 30坪の住宅 | 40坪の住宅 | 50坪の住宅 |
表層改良工法 | 約20〜70万円 | 約30〜100万円 | 約50〜130万円 |
柱状改良工法 | 約80〜120万円 | 約100〜160万円 | 約150〜200万円 |
鋼管杭工法 | 約120〜180万円 | 約150〜220万円 | 約200〜300万円 |
表の費用は大まかな目安で、実際には地盤の性質や地下水位、改良深度などによって変動します。
地盤改良の費用を抑えるためのポイント

地盤改良にかかる費用は条件次第で大きく変わりますが、費用をできるだけ抑えることも可能です。ここでは、地盤改良の費用を抑えるためのポイントを解説します。
複数の業者に見積りを依頼する
地盤改良は同じ土地でも業者ごとに工法や費用の提示が異なります。
そのため、一社の見積りだけで判断せず、必ず複数の業者に依頼して比較しましょう。
費用の差だけでなく、改良方法の提案内容や工期、保証の有無なども合わせて確認しておくと安心です。
特に大手ハウスメーカーと地元工務店では金額や対応範囲が異なることも多いため、条件を揃えて依頼すると相場感をつかみやすいでしょう。
地盤資料やハザードマップを確認する
無駄な地盤改良を避けるために、あらかじめ土地の性質を把握しておきましょう。
購入予定の土地であれば、売主や不動産会社が保有する地盤調査報告書やボーリングデータを確認すると参考になります。
また、自治体が公開しているハザードマップや地質図を利用すれば、液状化のリスクや土壌の性質を事前に知ることも可能です。
地元の工務店・ハウスメーカーに相談する
地盤改良は土地ごとの特性を踏まえて工法を選ぶ必要があるため、地域の事情に詳しい工務店やハウスメーカーに相談することも有効です。
地元の業者は、検討中の土地特有の地盤傾向や過去の施工事例を多く持っています。
そのため、過不足のない提案をしてくれる可能性が高いです。
また、長期的なアフターフォローのしやすさもメリット。信頼できる地域の専門家に相談すれば、安心とコスト削減に繋がりやすいでしょう。
地盤改良でありがちなトラブルと対策

地盤改良では思わぬトラブルに発展することも少なくありません。ここでは、地盤改良でありがちなトラブルと対策をご紹介します。
不適切な工法と追加費用で高額請求
地盤改良は土地の状態に応じた工法を選ぶ必要がありますが、中には実際の地盤に適さない方法を提案されたり、後から追加工事を求められるケースも見られます。
特に「最初の見積もりは安くても、工事途中で追加費用が発生した」という声は多いです。
追加費用や高額によるトラブルを防ぐには、工事の項目をよく確認しましょう。
地盤改良工事の見積書には以下のような項目が記載されています。
- 面積を含める工事の内容
- 使用される材料
- 工法
- それぞれの項目の費用 など
また、契約前に見積もりの内訳や追加費用の条件を明確にしておくと安心です。
不明瞭な項目や「一式」とだけ書かれた費用は、後で追加費用が発生する原因になりやすいため、具体的な内訳を必ず質問しましょう。
近隣住民への配慮不足
地盤改良工事では重機を使用するため、騒音や振動、粉じんなどが避けられません。
そのため狭小地や住宅密集地では、工事の振動や建物への影響でトラブルになりやすいと言えます。
対策としては、事前に工事の概要や期間を近隣に説明して理解を得ておくこと。
加えて、防音シートや散水による粉じん対策など、施工時の配慮も必要です。
丁寧で誠実に対応してくれる業者を選ぶと、後々のトラブル回避にもつながるでしょう。
埋設物による工事の中断
地盤改良工事を進める過程で、古い基礎やコンクリート塊、廃材、さらには上下水道管やガス管など想定外の埋設物が見つかることがあります。
埋設物が見つかると工事が中断され、撤去費用や工期延長につながるため注意が必要です。
土地を購入する段階で過去の利用履歴を確認したり、売主に地中障害物の有無を確認しておくのがおすすめです。
地盤改良に関するよくある質問

最後に、地盤改良に関するよくある質問をご紹介します。
地盤改良は本当に必要?
すべての土地で地盤改良が必要になるわけではありません。
地盤の硬さや地層の状態が十分に安定していれば、改良工事を行わなくても家を建てられます。
しかし、地盤が弱いまま建築すると、将来的に不同沈下を起こし、ドアや窓の開閉不良、ひび割れなど深刻な被害を招く恐れがあります。
地盤調査では根拠に基づいて工事の要否が判断されるため、改良工事が必要だと判断されたら必ず工事を行いましょう。
地盤改良が不要な土地はどうやって見つける?
地盤改良が不要となる土地を見極めるには、周辺の地質や過去の利用履歴を確認すると効果的です。
台地や山の中腹など、自然に締め固められた地盤は強固である可能性が高いです。
反対に、造成地や埋立地は地盤が弱く、改良が必要になるケースが多く見られます。
また、不動産会社や自治体が保有している地盤情報、地盤サポートマップなどの公開資料も参考になるでしょう。
ただし、表面的な情報だけでの判断は難しいため、最終的には専門業者による地盤調査が必要です。
地盤改良したら安全な土地になる?
地盤改良工事を行えば、建物を安全に支えられる状態に強化できますが、「建築物を建てる上で必要な安定性を確保する」という意味に限られます。
つまり、地盤改良によって不同沈下のリスクは減らせますが、地震や洪水、土砂災害といった自然災害そのものを防げるわけではありません。
土地そのものの安全性を高めるためには、改良工事だけでなく、立地選びや災害リスクの把握もしておきましょう。
地盤改良の費用は住宅ローンに入れられる?
地盤改良費用は、住宅ローンに組み込めるケースが多くあります。
特に住宅本体の建築と一体で契約する場合は、改良費用も「建築関連費用」としてローンに含められることが一般的です。
ただし、土地購入後に別途工事を依頼する場合や、想定外の追加工事が発生した場合には、自己資金での支払いが求められることもあります。
金融機関によって取り扱いが異なるため、事前に工務店やローン担当者に確認しておくと安心です。
まとめ
今回は、地盤改良工事の工法や費用、よくあるトラブルを避ける方法などを解説しました。
地盤改良の費用は、建物の規模や工法によって大きく変わりますが、一般的な木造一戸建てならおおよそ20万円〜70万円程度です。
費用を抑えたり、適正価格を知るためにも複数の業者に見積りを依頼したうえで、施工業者を検討しましょう。
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監修者情報
グッドリビング広報部

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