COLUMN コラム
マイホームを考え始めたときに「平屋と二階建て、どっちがいい?」と迷う方は少なくありません。
小さなお子さんがいるご家庭や、将来は夫婦ふたりでゆったり暮らしたいと考えている方など、家族構成やライフスタイルによっても向き・不向きは変わってきます。
この記事では、平屋と二階建ての違いを「費用」「土地」「暮らしやすさ」「安全性」などさまざまな視点から比較し、それぞれのメリット・デメリットを整理しています。
平屋と二階建てのどっちを選ぶべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
平屋と二階建てはどっちを選ぶべき?比較のポイント

平屋と二階建てを選ぶ際は、さまざまな視点から総合的に判断することが大切です。
平屋は生活動線がシンプルで老後も暮らしやすい一方、広い土地が必要で建築コストが高くなる傾向があります。
反対に、二階建ては敷地が限られていても延床面積を確保しやすく、費用を抑えたい場合にも有利です。
ただし、階段の昇り降りがあるぶん生活動線に工夫が必要な場面もあります。
どちらにもメリットとデメリットがあるため、「何を優先したいか」を整理しながらライフスタイルに合った家を選びましょう。
【比較①】建てるときの費用

建築時にかかる費用として、本体工事費とそれ以外の諸費用があります。ここでは、住宅を取得するときにかかる費用について比較してみましょう。
本体工事費用
建物そのものの工事費用は、平屋の方が一般的に割高です。
同じ延べ床面積で比べた場合、平屋は基礎と屋根の面積が広くなる分、資材や施工のコストがかさみます。
建物タイプ | 坪単価の目安 | 本体工事費(30坪の場合) |
平屋 | 65万〜80万円 | 約1,950万〜2,400万円 |
二階建て | 55万〜70万円 | 約1,650万〜2,100万円 |
坪単価にすると平屋が約65〜80万円、二階建ては約55〜70万円が目安となります。
30坪の平屋なら約2,100万〜2,400万円、同規模の二階建てなら約1,800万〜2,100万円が相場です。
ただし、二階建てでも仕様次第では平屋より費用が高くなる場合もあります。
建築費以外の諸費用
建築時には本体費用以外にも、地盤改良・外構工事・水道引き込みなどの付帯工事費や、設計監理費・登記費用・火災保険などの諸費用が発生します。
建築時にかかる諸費用は建築価格の15〜20%が目安です。
特に、平屋は広めの土地を必要とするため、外構や造成の費用がやや高くなる傾向にあります。
諸費用の目安は、それぞれ次の通りです。
平屋の目安費用 | 二階建ての目安費用 | |
地盤改良費 | 40万〜100万円 | 30万〜80万円 |
外構工事費 | 100万〜200万円 | 80万〜150万円 |
設計・登記・保険等 | 250万〜400万円 | 250万〜400万円 |
合計(目安) | 約390万〜700万円 | 約360万〜630万円 |
設計監理費や火災保険料・登記費用などの諸費用は建物規模に比例するため大きな違いはありません。
マイホームを建築する時には、建物価格だけでなく諸費用を含めた総予算で検討しましょう。
【比較②】必要となる土地

平屋と二階建てでは、同じ床面積を確保するために必要となる土地面積は大きく異なってきます。ここでは、平屋と二階建てを建てるのに必要となる土地について比較してみましょう。
土地の広さ
平屋を建てるには、二階建てよりも広い土地が必要です。
たとえば延べ床面積30坪の家を想定した場合、建ぺい率60%のエリアでは、最低でも50坪程度の敷地が必要となります。
対して二階建てなら、同じ30坪の延べ床面積をコンパクトに配置できるため、35坪〜40坪程度の土地でも十分建築が可能です。
建物タイプ | 必要な土地面積(目安) |
平屋 | 約50坪〜 |
二階建て | 約35〜40坪〜 |
土地が広くなると購入費用や固定資産税も高くなります。
平屋を希望する場合は、郊外や地方都市部など、比較的ゆとりがあるエリアでの計画が現実的と言えるでしょう。
周辺環境
平屋と二階建てでは、周辺環境との相性にも違いがあります。
平屋は1階のみで完結する構造のため、周囲に高い建物があると日当たりや風通しが悪くなる可能性があります。
特に、隣家との距離が近くなる住宅密集地では注意が必要です。
一方で二階建ての場合、高い位置に部屋を設けやすく、周囲からの視線や日照の問題が比較的少ないため、住宅密集地や条件の厳しい土地でも建てやすいのがメリットです。
大まかなエリアの計画段階で、地域の環境条件をしっかり調査しておきましょう。
【比較③】長期的にかかる費用

平屋と二階建てでは住宅の維持管理や税金など、長期的にかかる費用にも差が出てきます。ここでは、税金とメンテナンス費用に分けて比較してみましょう。
税金
家を建てたあとも、毎年固定資産税や都市計画税といった税金が発生します。
一般的に平屋は土地を広く使うことになるため、二階建てよりも土地の評価額が高く、税負担が増えるケースが多いです。
延べ床面積30坪・土地50坪の平屋と、同じ延べ床面積で土地40坪の二階建てを比べると、年間で1〜2万円程度の税金差が出る場合もあります。
なお、自治体ごとに税率や評価基準が異なるため、あくまで目安として考えてください。
メンテナンス費用
家を建てて入居した後は、定期的なメンテナンスが必要となります。
特に、屋根や外壁の塗り替え・点検といった高所作業では、足場の設置が必要かでコストが変わります。
平屋は屋根までの高さが低いため、足場を組むなどのコストが抑えられるケースが多いです。
外壁塗装にかかる費用の一例を見てみましょう。
建物タイプ | 外壁塗装の目安費用(30坪の場合) |
平屋 | 約70万〜90万円 |
二階建て | 約90万〜120万円 |
ただし、平屋は屋根の面積が広いぶん、屋根材や雨どいの補修費用が割高になる場合もあります。
それぞれの特徴をふまえて、将来の維持費も見込んでおきましょう。
【比較③】日常の暮らしやすさ

平屋と二階建てでは、日常の暮らしやすさも大きく違ってきます。ここでは、動線や居心地について比べてみましょう。
生活の利便性
平屋はすべての生活空間がワンフロアにまとまっているため、洗濯や掃除、買い物の片付けといった日常の動作が楽になるのが特徴です。
特に、小さな子どもがいる家庭や足腰に不安がある方にとって、階段のない動線は大きな安心材料となるでしょう。
一方、二階建てはプライベート空間と共有スペースを分けやすいため、家族が多い場合でも生活リズムを保ちやすいというメリットがあります。
ただし、日常的に階段の昇り降りが必要になるため、将来的に負担になる可能性も。
現在のライフスタイルだけでなく、将来的な負担も見据えておきましょう。
暮らしの快適さ
空間の広がりや採光・通風といった環境は、暮らしの快適さを左右します。
平屋は天井を高くしたり、勾配天井や吹き抜けを取り入れて、実際の面積以上の開放感が得られることが多いです。
部屋同士の距離も近いため、家族とのつながりも感じやすいのが特徴です。
一方で二階建ては、高さを活かして二階からの眺望や風通しを確保しやすいのが魅力です。
採光が確保しにくい住宅密集地などでは、二階にリビングを配置して明るさや開放感をアップするなどの工夫もできます。
どちらも条件次第で快適さが違ってくるため、優先したいポイントを明確にしておきましょう。
プライバシー面
平屋はすべての部屋が1階にあるため、窓からの視線が入りやすい特徴があります。
特に隣家との距離が近い場合では、カーテンを閉めがちになったり、音が気になることも。フェンスや目隠しの植栽を活用するなど、外構での工夫が必要です。
反対に、二階建ては居住空間を上階に配置できるため、通行人や隣家からの視線を避けやすいと言えます。
また、家族の生活時間帯のズレがあってもストレスが少ないというメリットも。
ただし、家族のコミュニケーションを大切にしたい場合はデメリットにもなるでしょう。
【比較④】安全面

家族が安心して暮らすためには、防犯性や災害リスクへの備えも大切な判断基準です。ここでは、平屋と二階建ての安全面について解説します。
防犯性
防犯面では、二階建ての方が有利になることが多いです。
平屋はすべての部屋が1階にあるため、自然と外部との接点が多くなります。
そのため、窓の鍵を二重ロックにしたり、防犯ガラスやセンサーライトを取り入れるなど、防犯に対する備え欠かせません。
一方で二階建ては、リビングや寝室などを必要に応じて2階に配置する工夫もできるため、外からの侵入リスクが低くなりやすいと言えます。
立地や周辺環境を踏まえて防犯面もしっかり考慮に入れておきましょう。
災害のリスク
地震への耐震性を考えると、平屋の方が揺れに強く、倒壊リスクが比較的低いとされています。
二階建てでも近年は耐震基準が強化されているため、しっかりとした安全性は確保できます。
ただし、建物が高いぶん風害には弱く、平屋よりは台風や突風時に対する備えは必要と言えるでしょう。
また、地震や台風だけでなく、水害リスクのある地域では上に避難できる二階建ての方が有利な場合も。
マイホームを建てる際には、地域の災害リスクやハザードマップも確認してみてください。
【比較⑤】家族構成やライフステージ

家族の人数や年齢構成、将来の暮らし方によっても平屋と二階建ての向き・不向きは変わってきます。
家族構成による住みやすさ
家族の人数が少なく、夫婦二人や小さな子どもとの3人暮らしといった世帯では、コンパクトに暮らせる平屋が人気です。
生活フロアが同じなので、家族の様子がわかりやすく安心感が得られるでしょう。
また、小さなお子さんがいるご家庭では、転落などの心配が減るのもメリットです。
一方で家族の人数が多かったり、思春期の子どもがいる場合は、二階建ての方が適度な距離感を保てます。
家族構成やライフスタイルがどう変わるかを見越して、将来的な住みやすさも考えてみましょう。
ライフステージによる住みやすさ
住まいは、今の暮らしやすさだけでなく、5年後・10年後にも無理なく暮らせるかどうかが重要です。
たとえば、子育てが落ち着き、将来は夫婦ふたりの生活になることを見越すなら、平屋のように移動の少ない設計が安心と言えます。
将来的なバリアフリー面でも平屋のメリットは大きいでしょう。
ただし「今は子どもがまだ小さいけど、いずれ個室が必要になる」というケースでは、二階建ての方が有利な場合も。
変化していくライフステージに合わせて、無理なく住み続けられる住まいを選びましょう。
平屋と二階建てのメリット・デメリットを表で比較

平屋と二階建て、それぞれに魅力と注意点があります。
以下の表で、主なメリットとデメリットをわかりやすく整理しました。
ライフスタイルや将来の計画と照らし合わせながら、マイホームの考えを膨らませてみてください。
平屋(30坪想定) | 二階建て(30坪想定) | |
本体工事費用 | 約1,950万〜2,400万円 | 約1,650万〜2,100万円 |
諸費用(設計・申請・家具等) | 約390万〜700万円 | 約360万〜630万円 |
土地代 | 地方都市:約1,250万〜1,500万円 地方郊外:約750万~1,000万円 | 地方都市:約875万〜1,050万円 地方郊外:約525万~700万円 |
総費用の目安 | 約3,000万~4,000万円 | 約2,500万〜3,500万円 |
メリット | ・動線がコンパクトで生活がしやすい ・構造が安定して地震に強い ・将来バリアフリーに対応しやすい | ・限られた土地でも床面積を確保できる ・プライバシーが保ちやすい ・眺めや採光を確保しやすい |
デメリット | ・広い土地が必要 ・坪単価が高めになりがち ・防犯や視線対策が必要になる | ・階段の上り下りが将来的に負担 ・維持費がやや高め |
費用面や暮らしやすさなど、平屋と二階建てでは違いが大きくでてきます。
どちらが優れているかというよりも、何を優先したいのかを考え、自分たちの暮らしに合ったマイホームの形を選びましょう。
二階建てより平屋が向いている人

メリットがありデメリットもある平屋ですが、次のような人が向いています。
小さな子どもや高齢者と暮らしている
平屋は階段がないため、転倒や落下といった事故のリスクが少なく、小さな子どもや高齢者と暮らす家庭にとって安心できる住まいです。
子どもが歩き始めたばかりの頃や、年配の親が同居している場合、階段の上り下りは大きな負担になります。
ワンフロアで生活が完結する平屋なら目も届きやすく、家族のつながりを感じやすいのも魅力です。
将来的にバリアフリーを考えている
将来を見据えて住宅を選ぶなら、バリアフリーにしやすいのは平屋です。
車椅子になった場合でも動線を確保しやすく、各部屋もフラットに繋げられます。
また、最初から自分たちの老後に備えた設計ができるのも特徴です。
将来的にリフォームを行う必要が少ないので、コスト面・安心感ともにメリットの大きい住まいと言えるでしょう。
日常生活の負担を軽くしたい
洗濯・掃除・買い物の片づけなど、日常的な家事を効率よくこなすには、上下移動のないフラットな間取りが便利です。
平屋は、キッチンから洗濯機、物干しスペースへとスムーズに動ける設計がしやすいため、身体への負担も減ります。
重たい荷物を持って階段を上り下りする必要もないので、毎日の生活がぐっと楽になるでしょう。
家族とのびのび暮らしたい
平屋は、扉や階層で空間が分断されないため、自然と家族のコミュニケーションが取れる環境が生まれやすいと言えます。
リビングを中心に設計すれば、子どもの様子を見守りながら家事をこなすこともできるなど、子育て期にも相性の良い間取りです。
また、天井を高くしたり、庭と一体感のある設計をするなど工夫すれば、開放感のある「のびのびした暮らし」を実現しやすいでしょう。
平屋より二階建てが向いている人

二階建てには、限られた土地を活かせることや、建築費や採光などの面でメリットがあり、都市部やコスト重視の人におすすめです。ここでは、二階建ての住まいが向いている人の特徴を見ていきましょう。
都市部などで建てるのを検討している
都市部や駅の近くなど、利便性の高い場所では、土地の広さに制約があるケースがほとんどです。
たとえば、30坪の家を建てたいなら平屋だと40坪以上の土地が必要ですが、二階建てなら20坪程度でも可能です。
土地代が高いエリアでも、必要な床面積をしっかり確保できるのは大きな魅力。
駅近や利便性を優先したい方には、二階建てが現実的な選択肢になるでしょう。
建築コストを抑えたい
同じ床面積で比較した場合、建築コストは平屋よりも二階建ての方が抑えやすい傾向にあります。
理由は、平屋のほうが広い土地に大きな基礎や屋根が必要になるからです。
もちろん一概には言えませんが、「限られた予算で広さを確保したい」という方には、二階建ての方がトータルコスト的に選びやすいと言えます。
採光や眺望を重視したい
二階建ては高さを活かした空間設計ができるため、光や風を取り入れやすいのが魅力です。
特に都市部や住宅密集地では、1階に光が入りにくいケースもあるため、上階にリビングも設けられる二階建ての方が、明るく開放的な空間を確保できます。
また、2階からの眺望や抜け感を楽しめるのも二階建てならではの良いところです。
景色や自然光を重視したい方にとって、暮らしの質を高めてくれるポイントになるでしょう。
まとめ
今回は、平屋と二階建てそれぞれのメリット・デメリットや、費用面を比較解説しました。
平屋と二階建て、どちらがいいかは「住む人のライフスタイル」によって異なります。
ワンフロアで移動が楽な平屋は子育て世帯や高齢者にぴったり。限られた土地を活かせる二階建ては都市部やコスト重視の方に向いています。
費用や土地の広さ、住み心地など、どちらにも一長一短があるのが現実です。
迷ったときは、将来の暮らしまで見据えて、家族にとって無理のない住まいを考えてみましょう。
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平屋・二階建てともに多数の建築実績を持っているので、平屋と二階建てどっちを選ぶべきか悩んでいる方、平屋を建てたいけど費用面で不安な方はぜひ1度ご相談ください。
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監修者情報
グッドリビング広報部

累計15000棟以上の実績があるグッドリビングが、WEBサイト上の情報をまとめただけの簡易的な記事でなく、実際のお客様とのコミュニケーションの中である悩みや疑問をテーマにしています。真剣に新築注文住宅を検討している読者に役立つ、価値ある中身の濃い情報をお届けしています。